ストレスで自律神経が乱れる本当の理由

ストレスによって、立ち眩みやめまい、動悸や息切れ、頭痛、不眠など、自律神経を乱してしまう人がたくさんいます。なぜストレスを受けると自律神経が乱れてしまうのかご存じですか?

不安

そして、その対策として、お医者さんも含め、いろいろな人が「運動をしてください」って言いますよね。でも、単に「運動してくださ」と言われても、やる気が起きる人ってそんなにいませんよね。今回は「運動してください」の本当の理由を教えます。理由が分かると、めんどくさいって言っていた人も、やっぱり運動しなきゃ、って思えるかもしれません。

重要なホルモンはストレスホルモンと呼ばれているコルチゾールです。

コルチゾールと自律神経

コルチゾールは副腎皮質から分泌されます。これは脳の視床下部から下垂体を通して信号が副腎皮質に信号が送られてきています。

ホルモン分泌

コルチゾールが分泌されると、血圧や血糖値が上昇します。血圧や血糖値が上がるということは交感神経が活発になります。それによってストレスの原因に対処する行動を起こします。そして問題が解決されれば、コルチゾールの分泌も落ち着きます。実はコルチゾールが交感神経を活発にして一定の役目を果たすと、今度はそのコルチゾールがコルチゾールの分泌を抑えるような働きをします。それで分泌が抑えらて、体が安定した状態に戻ります。

だから、ストレスによる一時的なコルチゾールの上昇は正常な反応になります。しかし、慢性的にストレスを受けてコルチゾールがどんどん分泌され続けると、抑制が効かなくなり、交感神経が過剰に働いた状態が続いてしまいます。多くの場合、睡眠障害を引き起こします。すると、体内リズムが狂ってしまい、その他の自律神経もどんどん乱れていきます。これがストレスで自律神経失調を引き起こす理由になります。

ストレスと運動

同様のストレスを受けても、許容できる人と出来ない人がいますよね。その差の一つが運動です。

運動

普段から運動習慣がない人は、運動習慣がある人に比べてコルチゾールの分泌量が多くなります。実は運動自体も、肉体や精神にストレスを与えます。だから、運動をするとコルチゾールの分泌量も増えて、交感神経が活発になり血圧が上がったり、心拍数が上がったり、呼吸が早くなったりします。しかし、そういったことを普段から繰り返すことによって、体はコルチゾールの分泌に慣れていきます。だから、運動以外でストレスを受けたとしても、コルチゾールの分泌量をうまく調整し、過剰な分泌を抑えることが出来ます。つまり、ストレスに対する耐性が付きます。

だから運動習慣がある人と、ない人では、ストレスを受けた際のコルチゾールの分泌量に違いが出ます。これがストレスに対する許容の差に繋がります。

ただ、注意しなければならないのは運動の強度です。先ほども言ったように、運動自体も精神と肉体にストレスを与えます。強度が強すぎると、その運動が原因で自律神経のバランスを崩してしまいます。そうならないように、適度な運動をすることが大事です。普段、あまり運動習慣がない人は、運動強度を軽度~中程度で20分から30分の有酸素運動を、週に3回くらいで習慣づけるといいと思います。運動強度は次の計算式で計算することが出来ます。だいたい強度が30~50%位の運動をしてみてください。

運動強度(%)=(運動時心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)×100

最大心拍数=220-年齢

整体だけで改善は難しい

ここまでお伝えした理由から、慢性的にかかり続けるストレスによる自律神経失調を、整体やカイロプラクティックだけで改善することは、ほとんどの場合ありません。

改善するためには2つの方法があります。一つはストレスの原因を解決し、さらなるストレスがかならない状態にし、溜っていたストレスを発散すること。もう一つは運動を習慣的に行い、自身のストレスへの耐性を上げること。この二つになります。

当院では、心と体を調整して一時的にストレスを軽減させたり、神経生理学に基づいて自律神経機能に直接アプローチしてバランスを整えます。そのうえで、ストレスへの対策や運動、栄養についてのアドバイスを行います。

自律神経以外でコルチゾールが体に及ぼす問題

最後に、コルチゾールの過剰分泌で起こる他の問題を2つ紹介します。

一つは更年期障害。閉経後の女性はエストロゲンという性ホルモンが卵巣では作れなくなります。閉経前のエストロゲンは卵巣の他に、副腎で補助的に作られているのですが、閉経後はこの副腎での生産がメインになります。しかし、ストレスを受けるとコルチゾールの需要が高まり、同じ副腎で作られているエストロゲンの生産が低下してしまいます。それによってホルモンバランスが崩れて更年期障害を促進させる可能性があります。

もう一つは脳の記憶に関わる海馬という場所の破壊。これはアルツハイマーにも関わります。海馬はコルチゾールにとても弱いので、ストレスで過剰に作られたコルチゾールによって海馬が委縮してしまいます。すると記憶に関する問題が起こります。

慢性的なストレスによるコルチゾールの過剰分泌はこの二つにも注意が必要です。

今回はコルチゾールが体に与える悪い影響について話しましたが、決して全く無い方が良いホルモンではありません。コルチゾールの働きは血圧や血糖値の上昇意外に、エネルギーを作ったり、脂肪を分解したり、免疫に作用して炎症を抑える働きもあります。だから適度に分泌されることが重要です。そのためにも習慣的に運動を行っておくことが大切になります。

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