【自律神経失調】ネガティブ思考の原因と対策

自律神経失調がなかなか改善しない人によく見られる考え方の特徴と、それが起こってしまう原因、そしてそこから抜け出すための対策について。

特徴

自律神経失調で悩んでいる人は、みなさん治したいと思っていますよね。ですが、この後お話しする考え方の特徴が起こっているために、なかなか改善に向けた取り組みが出来なくなってしまっています。まずその特徴について。

目標や計画を立てられない

一つ目、目標や計画を立てられない

自律神経失調の人には、良くなったら何をしたいのか?というような目標を伺います。例えば、以前のように旅行に出かけたい、とか、登山をしたい、とかです。自律神経失調を治す、ということをゴール目標にする人がいますが、こういう人は、明確な目標があるのに比べるとモチベーションが上がりにくいことが多いです。

個人的な臨床経験からですが、自律神経失調を治す、ということを最終目標にする人より、自律神経失調を治すのは何か目的を成し遂げるためのステップアップと考える人の方が、良い結果が出ているように感じます。しっかりした目標があると何が良いのかというと、計画を立てやすくなるからです。いつまでに目標を達成出来るようになるためには、それまでにどういう事をしなければならないのか、というような計画が立てやすくなります。

意志が弱くなっている

二つ目、意志が弱くなっている

自律神経失調を改善させるためには、多くの場合、運動をする必要があったり、食事習慣を変える必要があったり、生活リズムを変える必要が出てきます。

当院の問診票にも書いてある質問なんですが、改善のためなら運動をしたり、食事習慣を変えることが出来ますか?「はい」か「いいえ」で答えてください、という問があります。そこで「いいえ」にチェックを付けたり、「内容による」という但し書きを書いたり、「はい」と「いいえ」の間の区切りに〇を付けたりする人がよくいます。つまり、自律神経失調を改善することよりも、運動をしたくないという気持ちや、好きなものを食べたいという気持ちが勝ってしまいます。あるいは、途中で誘惑に負けてしまう人もいます。

ネガティブな考え方をする

三つ目、ネガティブな考え方をする

普段、運動習慣のなかった人が運動をするのは、決して簡単なことではありません。疲れますし、楽しくないですし、場合によっては筋肉痛になったりしますし、時間も使います。それを理由にやりたくないという人がいます。食事習慣を変える場合だと、家族がいるから私だけ変えられない、食事を作る時間がない、ゆっくり食べる時間がないから簡単に食べれるものばかりになってしまうとか。とにかく、自分にはそれが出来ないという理由ばかりを探します。そういった直近のネガティブなことばかりを考えて、それを行うことによって将来得られるであろうメリットが考えられなくなってしまっていることが多いです。以前YouTubeにアップした自律神経関係の動画のコメント欄には、そういったコメントがたくさん寄せられています。

前頭葉の機能低下

自律神経失調がいつまでも改善しない人は、上の特徴のどれかに当てはまっていませんか?当てはまる場合、これを自律神経の問題だけと考えるのではなく、脳の前頭葉の働きの低下が起こっていると考えると、ネガティブな考え方をしてしまう理由が神経生理学や脳科学で説明することが出来ます。

前頭葉の働き

前頭葉の働きを大雑把に説明すると、前頭葉は目標を決めて、それに向けて計画を立て、実行に移します。途中、なにかあれば計画を修正したり、他の誘惑があった時に、その衝動(サボりいという衝動、お菓子を食べたいという衝動、運動したくないという衝動)を抑制し、目標に向かって行動します。前頭葉にはこんな働きがあります。

さらに前頭葉は脳幹にある橋延髄網様体(PMRF)と呼ばれる神経細胞の集まりとコミュニケーションを取っています。このPMRFは脊髄の中間外側核(IML)の交感神経を抑制する働きもあります。つまり、先ほど説明した考え方の3つの特徴は、この前頭葉が担う機能が働いていない、という状態だと考えられます。さらに前頭葉からPMRF→IMLの繫がりの交感神経の抑制ができていないことによる自律神経の乱れも起きているとも考えられます。

対処は前頭葉を鍛える

だからアドバイスは前頭葉を鍛えることです。お勧めするのが、目標や計画をしっかりと立てて、それを紙やノートに記入して行動するということです。計画の立て方は、まず最終的な目標を経て、そこに至るまでの少し小さな目標を経てます。小さな目標は1つだけでなく複数上げておきましょう。次に、最終的な目標をいつまでに達成するか決めて、そこに至るまでの途中の小さな目標をいつまでに達成しなければならないか考えましょう。そして実行に移します。ノートはちょくちょく確認し、できれば毎日、計画通り進んでいるかチェックしてください。もし、計画通り行っていなければ、計画を修正する必要があります。出来るだけ、最終目標の日程は動かさずに、行動する回数を増やしたりして修正するようにしてください。もし、予期せぬ事態が起きた場合は、最終目標の日程や内容も含めて検討しなおすことも必要になるかもしれません。

他にも前頭葉を鍛える方法はあります。例えば、目を動かす際に前頭葉を使います。体を動かす際にも使います。ワーキングメモリ(作業記憶)をするときにも使います。前頭葉はたくさんの場面で使われています。しかし、一人一人、効果的な対策は違ってきます。ある人には目を動かすことが効果的かもしれません。ある人には目を動かすだけでは効果がなかったけど、体の動作を加えると効果的になるかもしれません。こういったことは一人一人検査をしてみないと分かりません。だから、こういったやり方は、実際にお会いした人にしか行うことが出来ません。もし気にななる人はお越しください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です