比較的簡単にできる自律神経の整え方

この記事は「副交感神経を優位にする6つの方法」に「活性化した交感神経を落ち着かせる方法」を加筆ものになります。

自律神経の働きとは

自律神経は交感神経と副交感神経の2種類があり、生命の維持に必要なことを無意識に行ってくれています。例えば心臓の動きや呼吸、内臓の働きなどですね。交感神経は「闘争と逃走」の神経と言われ、体の活動を活発にするために働きます。一方、副交感神経は体を休めたり回復させるために働く神経になります。

自律神経

どちらか一方の働きが強くなれば、もう一方の働きは低下します。両方が同時に活性化することも、低下することもありません。自律神経はこの2つがバランスをとることで、快適に日常生活が行えています。そして自律神経が乱れてしまう人のほとんどは、交感神経の働きが強くなってしまっていて、副交感神経の働きが低下してしまっています。

交感神経と副交感神経のバランスを整えるためには、2つの考え方があります。一つは副交感神経を活性化させて、交感神経の働きを落ち着かせる方法。もう一つは、交感神経の過剰な働きを落ち着かせて、副交感神経の働きを優位にする方法です。

迷走神経

交感神経が過剰になると、動悸や息切れ、イライラしたり、眠れなくなったり、便秘になったり、といったことが起こります。

そこで、重要なのが副交感神経の働きですが、副交感神経についてお話をするなら絶対に無視してはいけないのが迷走神経なんです。この迷走神経は副交感神経の代表と言ってもいい神経です。迷走神経は副交感神経線維を含み内臓や喉の奥の筋肉の働きをコントロールしています。

さらに、迷走神経の核は脳幹の延髄というところにあり、内臓からの情報を受け取って脳に送っています。それによって、気分や感情に影響を及ぼしています。これを脳腸相関と言います。腸の状態が良いと、脳内の幸せホルモンのセロトニン濃度が高いという研究データもあります。そして、うつや不安症の人は脳内のセロトニン濃度が低いということもわかっています。

お腹の調子が悪いと気分が落ち込んだりしませんか、あるいは気分が悪いとお腹の調子が悪くなったりしませんか。経験があるという人は決して少なくないと思います。

脳腸相関

迷走神経は副交感神経線維を含んでいるので、交感神経が昂ることで自律神経が乱れている人は、迷走神経を刺激することで副交感神経の活動があがる可能性があります。

迷走神経は、先ほど言ったように喉の奥の筋肉や、内臓の動きをコントロールしているので、ここに刺激することで迷走神経の働きを活性化することが出来ます。

副交感神経を活性化させる方法

前述したように迷走神経を刺激することでも副交感神経が活性化しますので、迷走神経の刺激をする方法を含めた、簡単に出来る副交感神経を活性化させる方法6つ紹介します。全てのやり方が全ての人に効果的とは限りませんので、できれば一度全部試してみて、自分に合っていると思うものを続けてみてください。

呼吸

自律神経は無意識下で行われると言いましたが、呼吸も普段は無意識に行っていますよね。ですが、呼吸は、意識的にコントロールすることが可能なのでこれを利用して副交感神経を優位にします。

呼吸は交感神経が優位だと、筋肉を活発に動かすために酸素を体の隅々までたくさん送ろうとするので呼吸が早くなります。逆に副交感神経優位だとゆっくりになります。そのため、ゆっくり腹式呼吸をすることで副交感神経を活性化させます。

ただし、本来、呼吸は無意識に行うものなので、こればかりを繰り返していると、逆に自律神経のバランスを崩すこともあります。

泣く

涙の分泌は副交感神経の働きになります。泣くと心がスッキリした感じがになることがあると思いますが、これは副交感神経が優位になったからです。

泣く方法はなんでも構いません。映画や小説、漫画などなど。あと歌は短時間で感動できるのでお勧めです。聴くと感動して泣ける歌を探してみてください。

うがい(迷走神経)

これは喉の奥の刺激なので、前述した迷走神経を活性化せて副交感神経を優位にする方法です。

この迷走神経の核は延髄と言う部分にあり、延髄には呼吸中枢があるので、もし、最初の呼吸が上手く出来ない人は、このうがいで、呼吸の仕方が改善されるかもしれません。

喉の奥を鳴らし、涙が出るほど激しく行うことが重要。恥ずかしがってやるようなやり方では効果がありません。

お腹のマッサージ(迷走神経)

これも迷走神経を活性化せて副交感神経を優位にする方法です。

お腹を大腸に沿ってマッサージを行います。図のように右の下腹部から、大腸に沿って時計回りにお腹を押してマッサージしてください。手の指が3、4cm沈み込むくらい押し込んでください。

お腹のマッサージ

ただし、このマッサージは注意が必要です。お腹には大動脈という太い血管があります。そのため次の問題がある人が行うと、大動脈を傷つけてしまう可能性があります。大動脈瘤がある人、高血圧の人(薬で下げている場合も含む)、血管の病気や不安を抱えている人。これらに当てはまる人はやらないでください。ほとんどの人は問題ありませんが、万が一、破裂すると、非常に高い確率で死に至ります。

耳へのTENS刺激(迷走神経)

迷走神経で唯一、皮膚を支配している場所が耳のくぼんでいる部分の内側になります(下図)。ここにTENS(経皮的電気刺激)を加えることで、迷走神経が刺激されます。

耳の迷走神経

TENZ刺激で迷走神経が活性化するという研究報告があります。しかし、その他の刺激(例えば、耳のマッサージ)で、迷走神経が活性化するかどうかは、そういった研究がされていないので、効果は分かりません。ですが、耳のマッサージを試してみても良いと思います。それで、楽になる感じがあれば、効果があるのかもしれません。

冷たいシャワー

お風呂から出る直前に15°以下の水のシャワーを20~30秒くらい浴びます。水のシャワーを浴びた後は、お湯を浴びたり、湯船につかったりせず、お風呂から出てください。

水を浴びると一時的に交感神経が上がります。ですが、交感神経が急に上がると、その後に、それを下げようという働きが起こり、副交感神経がグッと上がってきて交感神経の働きを抑制してくれます。この反動を利用しています。

夜、お風呂から出る直前に行うことで、副交感神経が優位になり寝つきが良くなる可能性があります。

ただし一時的とはいえ血圧が上がるため、高血圧の人、脳血管障害や血管に不安がある人はやらないでください。

交感神経を落ち着かせる方法

交感神経は首から腰までの背骨の背骨の両脇を走っています。そこからそれぞれの器官に枝分かれしています。

自律神経

背骨の歪みを整える

背骨が歪むと、その負荷が交感神経を刺激してしまい、興奮した状態になってしまうことがあります。そこで、背骨の歪みがあれば、それを整えることで交感神経の働きが落ち着いてくれます。

これについてのストレッチのやり方を、YouTubeで公開していますので、そちらをご覧ください。

肩と首の筋肉を緩める

実は自律神経失調の人のほとんどが、肩や首の筋肉が凝っています。そして、原因不明の体調不良、いわゆるめまいや頭痛、うつ症状、不安感といた不定愁訴28種類が、肩や首の筋肉の負担を取り除くことで50%以上、軽減したという研究データもあります。

これは、首の下部には星状神経節という交感神経の集まりがあり、ここに過剰な刺激が入って、交感神経が活性化している可能性が考えられます。

肩や首の筋肉を効率的に緩める方法については、以下の動画を参考にしてください。

音と光を遮断する

音と光の刺激は、脳幹の中脳を経由して脳へ伝えられます。この中脳には、交感神経は存在しませんが、中脳が音や光で興奮すると、交感神経も活性化すると考えられます。大きな音や強い光を受けると、驚いたり、とっさにそちら向いたりしますよね。これは危険があった場合に回避するための反応です。つまり最初に書いた「闘争と逃走」の反応になります。

大きな音で音楽を聴いたり、スマホやテレビを長時間見ていることで、中脳に過剰な刺激となり、交感神経が活性化してしまいます。だから、こういったことをしばらく避けることで、活性化してしまった交感神経を落ち着かせることが出来ます。

まとめ

簡単にできる副交感神経を優位にする方法と、活性化した交感神経を落ち着かせる方法を紹介しました。自分に合った方法、あるいは場所に合わせて使い分けてみてください。また、いくつかは注意が必要なものがありますので、しっかりと注意事項は守って行ってください。

これらを行っても、自律神経の乱れが改善しないという人は、食事や運動など生活習慣を見直す必要があるかもしれませんので、「【動画付】自律神経失調を根本的に治すための3つの基本」もご覧ください。

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