汗の悩みと副腎疲労

最近、汗をたくさんかいて困っています、という相談が増えてきました。中には、私が以前上げた動画をご覧になってくる方もいらっしゃいます。その動画では、背骨の歪みによって交感神経が刺激されて顔や頭、手の汗にかく可能性がありますという話をしました。

やはり当院に相談に来る人も、顔や手の汗で困っているという人たちです。ただ、そういう人たちでも、足のある部分をチェックしてみると、そこにも汗をかいています。ということは、顔や手だけではなく足も汗をかいているということです。もともとお尻や太ももは汗腺がそんなに多くありません。それで足にはあまり汗をかいていないと勘違いしてしまいやすいです。足で汗をかきやすいところは足の裏です。ここをチェックします。ここに汗をかいていれば、顔や手の汗で悩んでいる人も、実は足も、つまり全身汗をかきやすいということになります。

では、全身に汗をかきやすかったとして、その理由は、骨格の歪みによって起こる交感神経の問題だけかというと、そうではありません。当院では汗についての相談を受けた場合、骨格の歪みをチェックする前に確認しておくことがあります。それは副腎疲労についてです。

副腎とホルモン

クライアントさんに質問する内容について話す前に、まずはなぜ副腎疲労について調べるのかお話します。

副腎には皮質と髄質というのがあり、それぞれホルモンを分泌します。副腎皮質からはストレスホルモンと呼ばれるコルチゾール、水分や塩分の調整を行うアルドステロン、そして性ホルモンが少しですが分泌されます。副腎髄質からは、カテコラミンが分泌されます。このカテコラミンとは、心拍や血圧を上昇させるアドレナリン、交感神経を活発にするノルアドレナリンのことです(ドーパミンもカテコラミンの一種ですが、副腎では作られませんので、今回はドーパミンの話はしません)。副腎に負担がかかるということはこれらのホルモンのバランスが崩れる可能性が高くなります。コルチゾールとノルアドレナリンは脳へ作用します。コルチゾールは記憶に関わる海馬、ノルアドレナリンは不安や恐怖に関わる扁桃体に影響を与えます。

副腎に負担をかける5つの要因

大量の発汗で悩んでいる人は、緊張したり、不安になったり、イライラしたり感情の乱れが起きたときに特に汗が出るという人が多いです。これは、副腎から分泌されたノルアドレナリンが扁桃体に作用してしまっている可能性が考えられます。だから当院ではクライアントさんに副腎に負担をかける要因について伺います。具体的には次の5つのことを聞きます。

ストレス

一つ目はストレスについて。ストレスがかかると副腎皮質からコルチゾールが分泌されて、交感神経を活発にしたり、糖や脂肪を代謝させてエネルギーを作り出したりして、そのストレスに立ち向かうための状態を作り出します。ストレスへの対処が終われば、コルチゾール自体がさらなるコルチゾールの生産を抑制する信号を出して、分泌が治まります。しかしストレスが解決せず、コルチゾールが過剰に分泌され続けると、自律神経のバランスが崩れたり、脳の働き、特に記憶に関わるものに悪影響が出てしまいます。

具体的にどんな聴き方をするかというと、まずは発汗に悩むようになったのはいつごろからか思い出していただきます。そしてそのころに、なにか普段とは違う出来事がなかったかどうか聞きます。実際に会った例で言うと、両親との死別だったり失恋、などがあったという人がいらっしゃいます。それと現在進行形のストレスはあるか?こういったことを聞きます。

タバコ(ニコチン)

二つ目はタバコのニコチンです。ニコチンはカテコラミンの代謝をあげてしまうので、その分、利用頻度が増えて分泌が増えます。すると交感神経の働きが上昇して発汗に繋がる可能性があります。タバコを吸うと一時的に注意力や集中力が上がったり、精神が落ち着いたりしますよね。これはカテコラミンだけではなく、アセチルコリン、セロトニンやGABAなどのホルモンの利用が高まったからです。これだけ聞くと良いようにも思うかもしれませんが、喫煙は副腎への負担を増やしますし、がんなどの病気のリスクも上がりますので、負の面の方が大きくなります。

カフェイン

三つ目はカフェイン。カフェインも副腎髄質に作用してカテコラミンの分泌を増やします。すると、交感神経上昇して発汗に繋がります。カフェインを摂り過ぎている人っていうのは、カフェインの作用が切れると一気に疲れが出たり、だるくなったりします。結構、集中するためにカフェインを摂るという人がいます。だから、コーヒーや緑茶、エナジードリンクをどれくらい飲むか確認します。

アルコール

4つ目はアルコールです。アルコールは肝臓に作用して→アセトアルデヒドを分泌→副腎髄質→カテコールアミン分泌→交感神経上昇させます。

糖質

そして最後は糖質。糖質の代謝に問題が起きている状態で糖質を摂ると、次のような反応が起きます。まず血糖値が上昇します。すると、それを落ち着かせるためにインスリン分泌されます。しかし今度はインスリンの働きによって逆に低血糖になってしまいます。そのままだとまずいので、血糖値を再び上げるために副腎髄質からアドレナリンが分泌されて交感神経が活発になります。この糖質の問題がある人は、食後に甘い物が食べたくなってしまうことが多いです。また夕方ぐらいになると、血糖値が下がり始めて集中力が切れたりやる気がなくなってきたり、だるくなったりして、再び甘い物を食べたくなってしまいます。だから甘い物をよく食べていないか確認します。甘い物じゃなくても、米やパン、麺など炭水化物ばかりを摂っていないか確認します。

この5つは副腎に大きな負担になります。大量の発汗に悩んでいて、それが子供のころからではなくて、ある時期を境に起こっているのであれば、この5つの内の一部、あるいは全部が影響している可能性もあります。だから必ずこれらのことについて確認します。

当院に発汗お悩みで来る人のほとんどが、この5つの内の3つ以上に当てはまる人がたくさんいます。そして、当てはまる人のほぼ全員が定期的な運動もできていません。運動はストレス発散やストレス耐性を付ける効果があったり、糖の代謝を促す作用があるので、とても重要になります。だから発汗で悩んでいる人に対しては、骨格の歪みだけではなく、これらを改善させる必要があるということを伝えます。

発汗で悩んでいる人は、一度ご自身の生活習慣を見直してみてください。

当院での対応は?

最後に、当院ではどんなことをするのか気になる人も多いと思いますので、当院で行う対策を簡単に教えます。まず一つは体の調整を行います。骨格を整えたり筋肉を緩めたり、脳の疲れを取り除くような調整をしたりします。それと、ストレスへの対策やタバコやアルコール、糖質への欲求への対処です。これらは急に止めろと言われても簡単にできることではないので、その対策をお伝えします。それは運動だったり、物事の計画や判断、行動や感情のコントロールを行えるようにするための脳のトレーニングだったり、食事の仕方だったりします。

このように、体の調整以外への対策を行っていきます。

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