足首の捻挫後から起きた腰痛

足首は体全体のバランスに関わる重要な場所です。スポーツをしていると足首を捻挫する人も少なくありません。ですが、ちゃんと治療を受けない人がたくさんいます。足首の捻挫は、痛みが取れたらそれで終わりではなく、脳機能やバランス感覚に問題が起きていないか確認し、バランスが崩れていれば、改善しておかなければいけません。そうしないと、将来、体のあちこちに負担が蓄積して、どこかに不具合を起こしてしまいます。

※この症例で行っているアプローチは、この方の問診内容や検査結果をもとに考えて行った方法です。他の人に同じことをしても必ず効果が出るわけではありません。効果には個人差があり、アプローチ方法も個別に合ったものを行う必要があります。また問診票を見返しながら記載していますので、多少の記憶違いがある場合があります。

【症例:30代男性(Eさん)】
2年前にフットサルの最中に左足首を捻挫。その後、足首の痛みは取れたが、今までなかった腰痛が出だした。慢性的に痛みが出ているが、フットサルの最中や長時間歩いているときが特につらい。半年間、整骨院に通っていたが、治らなかった。

[主訴以外の症状]
肩こり
疲れがなかなか取れない

[本人の希望]
フットサルの最中に腰痛が出ないようにしたい。

[所見]()内は問題が推測できる場所。重要な情報に◎
・私がEさんの左の足を動かそうとすると、力が入り、抜くことが出来ない。(右前頭葉)
・私がEさんの右の足首を曲げ、左の足首を右と同じ角度までEさん自身で曲げるように指示すると、ズレが生じる。(固有感覚、右頭頂葉)◎
・左足で片足立ちすると、すぐにバランスを崩す。(左小脳、固有感覚)
・歩行時に左手が振れていない。(左肩、右前頭葉)
・足のつま先で一定のリズムで床をタップをしてもらうと、左はリズムが乱れる。(左小脳)
・目で対象物を右から左に追うと、眼球がカクカク動く。(左頭頂葉)

[施術]
聴覚-視覚同調療法(写真)で脳をリラックスさせた状態で、私がEさんの左足を動かす。左足の力が少し抜けるようになる。

検査で行った足首の角度の検査を、目で見て確認しながら行い、Eさんの感じている感覚と実際の動きのズレの修正を行う。
リズムに合わせて左足を動かしてもらうトレーニングを行う。
モーションガイダンスを使い、足首をイメージ通りに動かせるようにするトレーニングを行う。(下の写真のレーザーを足に付けて動かす)

平衡感覚訓練

このトレーニングを週に1~2回、1ヶ月で6回受けていただきました。それと自宅でで来るホームエクササイズを指導。

その後は、Eさん自身、フットサルをした翌日の疲労感も以前より減り、腰痛も起こらなくなっていくのが実感できたと仰っていました。

[考察]
捻挫によって、足首の位置や動きに関する情報を感じ取るセンサーに問題が起きてしまい、そこから足の感覚を認知する体性感覚(頭頂葉)に問題が起こり、さらに左足を動かす運動野(前頭葉)への神経ネットワークに問題が起こってしまい、体全体のバランスの崩れを起こして、運動中に腰痛が出ていたと考えられます。疲れがなかなか取れないのも、脳の疲労が関係していたのかもしれません。そのため、筋骨格の調整だけではなく、運動神経や体性感覚のトレーニングを行いました。

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