【知らないと危険】整体院で神経痛をみてもらうなら

お尻や足に痛みやしびれが出る椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(いわゆる坐骨神経痛と言われるもの)、首や腕に痛みやしびれがでる頚椎症や胸郭出口症候群など、これらは神経が障害されることで起こります。

このような症状が出た場合、おそらくほとんどの人がまず病院へ行くと思います。しかし、そこで治らないという人や、手術を勧められたけど、手術はしたくないと言って整体院へ行く人もいらっしゃると思います。当院にもそういった相談は少なくありません。

信頼できる整体院があればいいのですが、ほとんどの人はそういったところはなく、また整体を一度も受けたことがないという人もたくさんいます。その場合、どうやって整体院を選べばいいか分からないですよね。

だから神経痛で整体院に初めて行く方にはぜひ知っておいて欲しいことがあります。

「良い整体院」と「悪い整体院」は見分けられるか?

ほとんどの人は整体院をインターネットで探すと思います。しかし、どんな業界でもそうだと思いますが基本的にホームページには良い事しか書いていません。整体院のホームページの場合は、改善率や適応症状、施術の実績などが書かれていると思います。もちろんこれらは重要な情報ですが、あなたの症状を改善できるとは限りません。決して他の整体院のホームページのことを悪く言っているのではありません。これは当院にも当てはまります。

だから、残念ながらインターネットで見つけた整体院が、行く前に「良い整体院」か「悪い整体院」かを見極めるのはほとんどできないと思います(なかには明らかに怪しいのもあったりしますが)。なので、初回でその整体院を見極めるために、知っておいて欲しいことがあります。

検査を受けましたか?

神経障害に限った話ではないのですが、特に神経障害で整体院へ通う場合は初回が重要です。初回でその整体院が神経の問題に対して、ちゃんとした知識を持っているかどうか見極めることが出来ます。

それは検査です。

神経障害で問題を改善するためには、まずは体のどこで神経が障害されているか見分けなければなりません。それには整形外科学検査と神経学的検査を行う必要があります(神経学的検査の中で筋力検査も行います)。

整形外科学検査では術者がクライアントの体を動かして検査します。基本的に道具は使いません。これによって筋肉や骨格の問題と神経の問題を区別します。

SLR
整形外科学検査(SLR)

もし神経障害が疑われた場合、次に神経学的検査を行います。神経学的検査では、腱反射や感覚の検査、筋力検査を行い、体のどの部分の感覚、あるいはどの筋肉の筋力に問題が起きているか調べます。これによって神経が体のどこで障害されているのか場所を絞ることが出来ます。神経学的検査では、打腱器や知覚計、音叉などを使います。このように検査を行うことで、神経障害なのかどうか、そして神経障害の場合、体のどこで神経が障害されているのかがある程度わかります。

膝蓋腱反射
神経学的検査(膝蓋腱反射)

よくあることなのですが、例えば整体へ行く前に整形外科でレントゲンやMRIを撮り「椎間板ヘルニア」という診断をされていたとします。そういった人には検査なんて必要ないと思うかもしれません。しかし検査は必要です。なぜかというと、レントゲンやMRIで分かるのは骨や椎間板などの構造の異常だけです。実は1995年、国際腰椎学会でVolvo賞を受賞したBoos博士の研究で、腰痛などの痛みやしびれがない健康な人の76%の人に椎骨や椎間板の変性が見つかるという結果が出ています。現在では科学の進歩もあり、椎間板ヘルニアが腰痛の原因である確率はわずか3%と言われています。

つまり、構造の異常(椎間板ヘルニア)があっても、それが原因で痛みが出るとは限りません。そして、病院ではレントゲンやMRI以外の検査をしていない場合も少なくありません。だから病院での診断のあるなしに関わらず、整体院で検査を行う必要があります。ただこれは病院の診断を信じていないからではなく、その時に術者が、自分の目で確認するということが重要だからです。

もしかしたら、病院で検査した時は神経障害だったかもしれませんが、整体院に来たときは筋肉の問題に変わっているかもしれません。筋肉の異常で神経障害のような痛みやしびれが起きることがあります。例えば腰椎椎間板ヘルニアの場合、普段から腰周辺に負担がかかっていたことが想像できます。当然その周辺の腰やお尻の筋肉にも負担がかかっていて、その筋肉が問題を起こしたとしてもおかしくありません。下の図は小殿筋という筋肉の問題によって痛みやしびれが出る範囲を示したものです。

小殿筋筋膜痛
小殿筋のトリガーポイント

だから整体院でも検査が重要になります。

良い整体院でも治るとは限らない

さて、初回に検査をしてくれて、説明にも納得がいく良い整体院が見つかったとします。しかし、必ず改善するとは限りません。たとえ、神経障害が起きている原因が分かったとしても、です。

当院の場合、椎間板ヘルニアが原因で足の痛みを訴えて来院した人が、3~5回で症状が無くなる、あるいは大幅に改善するという人は1~2割(大幅に改善していなくても、改善の傾向がみられる人はもっとたくさんいます)で、5回~15回以内で4~5割、残りは改善させることが出来ません。

その理由はいくつかあります。一つは、改善する見込みがあったとしても、数回で来院しなくなってしまう場合。これは私とクライアントとの馬が合わないことや、クライアントの金銭的、時間的な余裕がないなどの理由で、当院ではどうしようもありません。実はクライアントと術者の相性も施術効果に影響することがあります。これはプラシーボ効果かもしれませんが、相手を信頼できるかどうかということが、精神的、肉体的にも影響していると思います。(例えば、痛みが酷くて予約を取ったのに、来院した時には痛みが減っている、とか。予約をしたことにより、精神的な安心感が生まれ、痛みを和らげたりします。)

もう一つは、私のしたアドバイスに取り組んでいただけない。神経障害が施術だけで改善するとは限りません。例えば神経に負担がかかりやすい姿勢や動作をしている。傷ついた細胞が、回復できるだけの栄養が足りていなかったり、休息が足りていない、運動やストレッチをしていない、など。神経障害を改善するためにはクライアント自身の取り組みも重要になりますが、協力してくれない場合は改善させられません。

そして最後は私自身の力不足。その時に持っているすべての知識や技術でクライアントさんに向き合っていますが、それでも、知識不足・技量不足だと感じることがあります。だから、どんな症状でも改善できるようになりたいと、日々勉強しています。

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