腰痛対策 Collection

根本的な腰痛の原因については「腰痛を正しく理解すると対策が分かる」をご覧ください。このページでは筋骨格の問題によって起きる腰痛について、その理由と対策を集めて紹介します。このページは随時更新していきます。

座った瞬間に腰が丸まってしまう腰痛

椅子に座った瞬間に腰が丸まってしまう人の多くは、ある筋肉の柔軟性がなくなっています。こういう人は慢性的な腰痛を抱えています。特にデスクワークの人はその傾向が強いです。その理由と改善方法についてです。

ハムストリングスと骨盤

骨盤と背骨
図1A

自分では気づいていない人も多いかもしれませんが、座った瞬間に腰が丸まってしまう人は結構たくさんいます。

これは図A右のように、骨盤を真っすぐに立てた姿勢を維持することができないため、骨盤が後ろに倒れてしまって腰が丸まってしまいます(図1A左)。腰が丸まると腰への負担が増えるので腰痛になります。

その原因の一つが、太ももの裏のハムストリングスという筋肉の柔軟性がなくなっていることです。ハムストリングスに柔軟性がない人は、腰の歪みを整えたり、腰の筋肉を緩めたりしても、一時的に楽になるだけで根本的な解決にはなりません。

なぜハムストリングスの柔軟性がなくなると、骨盤が後ろに倒れてしまうかというと、座った姿勢で骨盤を立てるためには、図1A右のように坐骨の位置が背骨を真っすぐ立てた時の中心線上にあるか、それより後ろまで引いてこなければなりません。

もし坐骨が背骨の中心ラインより前に来てしまうと、骨盤は自然と後ろに倒れてしまいます。つまり坐骨が前側に引っ張られる要因があると、骨盤を立てることが難しくなります。

ハムストリングスは坐骨に付いています(図1B)。だから、この筋肉に柔軟性がないと坐骨を後ろに引くことが出来なくなり、骨盤は後ろに倒れてしまい腰が丸まってしまいます(図1C)。

ハムストリングス
図1B
ハムストリングスと坐骨
図1C

もちろん、骨盤の歪みや、背骨を真っすぐにした状態で体幹を安定させる筋力も必要になりますが、それがあったとしても、ハムストリングスが縮んでいると腰が丸まってしまいます。

骨盤を立てるためには、ハムストリングスに必要最低限の柔軟性が必要になります。柔軟性が足りない人は、ハムストリングスのストレッチをしてください。ストレッチに関しては動画内で紹介しています。

仰向けで寝ると腰が痛くなる

仰向けで寝ると腰が痛くなったりしていませんか、その理由は仰向けで寝ている状態なのに腰が反ってしまっているからです。

この腰が反ってしまう原因は、体の前側にある筋肉が固まっていしまっていることにあります。その筋肉は大腿四頭筋と大腰筋(腸腰筋の一部)になります(図2A)。この2つの筋肉が縮むと腰が反ってしまいます。

股関節屈筋群
図2A

筋肉は縮むと筋肉の端と端の骨に付着している部分を近付けるような力( 図2B:黄色矢印)が働きます。大腿四頭筋(図2B:オレンジの筋肉)は骨盤から膝の下に付いています。この筋肉が硬く縮んでしまうと、骨盤を前に引っ張るようにして倒します。

大腰筋(図2B:赤の筋肉)は腰の骨から太ももの骨についています。この筋肉が硬く縮んでしまうと、腰の骨を前に引っ張って腰が反ります。この様に大腿四頭筋と大腰筋は硬く縮んでしまうと、腰が反ってしまうので腰の負担が大きくなり腰痛になります。

反り腰になる筋肉
図2B

なぜ立っている時より仰向けの方が腰が痛いのか

大腿四頭筋と大腰筋が硬くなると、腰を反らして腰痛を引き起こす理由は分かってもらえたと思います。では、なぜそれが寝ている時にさらに痛みを強くするのか解説します。

寝ている時に腰に痛みが出る人のほとんどが、普段からも少なからず反り腰だったりして腰痛があると思います。

立っている時は、重力により上半身の重さが腰や骨盤に圧縮をかけるので、腰の骨や骨盤の動きに制限がかかります。しかし仰向けに寝ると、上半身の重さが腰や骨盤にかからなくなってしまうことと、足は重いので固定され、腰や骨盤が立っている時よりも簡単に筋肉に引っ張られてしまいます。

そのため、仰向けで寝ると腰が反ってしまい痛みを出します。

腰が反らないようにすれば痛みは出ません。だから、膝を立てたり横向きに寝て軽く膝と股関節を曲げていると、筋肉が付いていた骨同士が近づくため(足と腰が近づく)、筋肉が緩んで腰を引っ張らなくなって楽になります。仰向けで寝ていると腰に痛みが出る人は、横向きに寝ることが多いのはこのためです。

それと、日中より寝ている時の方が腰が痛くなる理由は、寝ている時はあまり体を動かさないので、日中より血流が悪くなるので、それが痛みをさらに強くしています。

腰を反らないようにするためには大腿四頭筋と大腰筋に柔軟性が必要になります。柔軟性が足りない人は、立って腰を反らす動作で腰に痛みが出ます。思い当たる人は大腿四頭筋と大腰筋を、ストレッチやマッサージで緩めてださい。

腹筋を鍛えると腰痛になる

腹筋群
図3

腹筋を鍛えているという人もたくさんいると思います。しかし間違った知識で腹筋を鍛えると腰痛になります。昔は腰痛の予防のために腹筋を鍛える、なんて言われてたこともありますが間違いです。

腰を曲げないで行う腹筋ならいいのでは(?)と思っている人もいますが、やはりそれもダメです。どんな方法であっても、腹筋だけを鍛えても腰痛の予防にはなりません。逆に腰痛になります。

その理由は筋肉の付いている場所を考えると分かります。腹筋はどこについていますか(?)当然、お腹についていますよね。腹筋は体の前側にあり肋骨と骨盤を繋いでいます(図3)。

筋肉を鍛えるということは、その筋肉が発達し収縮する力が強くなります。つまり腹筋を鍛えて強くなると、収縮する力が強くなり肋骨と骨盤を近づけてきます。言い方を変えると腰が丸まります。腰が丸まれば腰の筋肉に負担がかかるので腰痛を引き起こします。

これを防ぐためには腹筋より背筋の力の方を強くしておかなければなりません。だから腹筋を鍛える場合は、背筋とセットで鍛えるようにしましょう。腹筋と背筋を鍛える割合は「腹筋3:背筋7」が目安です。なので腹筋を鍛えようとしたら、背筋の方をたくさん鍛えなければいけません。

なぜ、こんなに差があるかというと、もともと人の体にある筋肉は屈筋群の方が強くできています。屈筋群は骨と骨を近づけるように動かす筋肉たちのことを言います。例えば腕の上腕二頭筋。これが働くと肘を曲げてきて、腕の上側の上腕骨と肘から先の前腕の骨を近づけてきます。これは生活の中で屈筋群の方が使う機会が多く、力を必要とするからです。逆に屈筋群とは反対の動きをする伸筋群は、それに比べると強い力を発揮する機会は少なくなります。そして腹筋は屈筋になります。

ちゃんとした知識を持って腹筋を鍛えるようにしましょう。

お尻の筋肉が弱いと腰痛になる

腰痛になるのは腰に負担をかけてしまうからですが、お尻の筋肉が弱いと腰へ負担がかかってしまいます。

殿筋と腰痛
図4A

お尻の筋肉のほとんどは股関節を跨(また)いで付いています(図4A)。これには股関節を安定させるという役割があります。股関節が安定することは、それより上の骨盤や背骨のブレを抑えてくれます。もし腰を動かしたときに股関節が安定していないと、腰回りだけではなく肩や首などの関節が不安定になるので、それを筋肉を使ってブレないように押さえつけるため余計な力が入ってしまいます。それによって腰痛や肩こりが起こります。

つまりお尻の筋肉はとても重要な働きをしてくれています。それと大殿筋は筋肉単体では、体の中で一番大きな筋肉になります。その筋肉が弱っているということは、代謝も大きく低下してしまうため、体重を気にしている人にとっても重要な筋肉です。

お尻の筋力チェック

お尻の筋力をチェックをしてみましょう。ただし、めまいやふらつきなど平衡感覚に異常がある人は、この検査は参考になりません。

足を腰幅かそれより少し狭い位に開いて、そのままの姿勢から片方の膝を前に上げて片足立ちをします。そしてそのまま30秒間キープしてください。次の項目に当てはまった人はお尻の筋肉が弱くなっている可能性があります。

殿筋弱化
図4B
  • 30秒間、片足立ちが出来なかった人
  • 30秒間、片足立ちは出来けど、体がフラフラ揺れてしまった人
  • 片足立ちの際に、上げた足とは反対側に腰が寄ってしまう人(図4B)
  • 1回目で成功せず、一度足を付けてしまった人。やり直して成功してもダメです。

以上に当てはまった人はお尻の筋肉を鍛えてください。

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