【うつ病や統合失調症】やる気の低下を改善するには

うつ病や統合失調症の人は健康な人に比べて脳の前頭葉の活動が低いことが分かっています。うつ病などの検査で光トポグラフィー検査というのがあり、これで前頭葉の血流量や活動のパターンが分かります。この検査はあくまで補助的なもので、この検査だけでうつ病かどうかを判断するものではないんですが、症状と検査結果の一致率は70~80%位あると言われています。

とういうことは、前頭葉の血流量の低下が、うつ病や統合失調症に関わる可能性があります。脳が活動すると、その使っている部分の血流量は上がります。だから、血流量が低下しているということは、その部分の働きが低いということでもあります。

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前頭葉の働き

うつ病や統合失調症の人は前頭葉の働きが低下しているわけですが、この前頭葉というところは、物事を考えたり判断したり、やる気を出したり集中したり、倫理観や社会性といった、重要な機能が備わっています。つまり前頭葉の血流の低下は、これらの前頭葉機能の働きの低下を引き起こします。それと前頭葉の深いところにある腹内側前頭前野という場所は、扁桃体の働きを抑制しています。この扁桃体の活動は、恐怖や不安と言った感情を引き起こします。つまり前頭葉は恐怖や不安と言った感情を抑える働きもあるということです。だから前頭葉の働きはとても重要になります。

前頭葉を活性化させる方法

では何をすると前頭葉が活動するのかについて3つの方法をお伝えします。

一つ目は体を動かすこと。

体を動かすということは、視覚や聴覚などの情報をもとに、どのように体を動かすか計画して、実行に移します。この時、脳では図のような情報の伝達が行われています。視覚情報を後頭葉で処理し、頭頂葉で「なにが」「どこに」「どういう状況か」を知覚し、前頭葉で「どうするか」を判断して、筋肉に信号を送り体を動かします。実際はもっと複雑にいろいろな部分と連携しているのですが、変わりやすいように模式図で表しています。見てわかるように前頭葉を使います。

運動の実行

二つ目はgo-no-go課題

これはgoで行動を起こし、noでその行動を止める、そしてまたgoで行動を開始するといったものです。この「する」「しない」を判断するのに前頭葉を使います。

一例を紹介します。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1 2 〇 〇 5 〇 7 8 〇 10

まず1~10までの数字を書き、そのいくつかを〇にして隠します。そして、1~順に声を出して数えます。丸の部分は声を出さずに手拍子だけします。こんな感じです。

1 2 手拍子 手拍子 5 手拍子 7 8 手拍子 10

三つ目は目を動かすこと

視線を瞬間的に別の物へ動かす目の動き衝動性眼球運動(サッケード)と言います。このとき、目を動かした方と反対側の脳半球の前頭葉が目を動かすための神経を発火させます。それによって目が素早く動きます。つまり目を左に素早く動かすと、右の前頭葉を活動させているということです。右に目を動かせば左の前頭葉ですね。

眼球運動とやる気

実際に眼球運動をすることで、やる気が向上した例をお話します。

以前、ある神経学のセミナーで聞いたのですが、脳挫傷後の患者で、リハビリの意欲が低下している人に対して、眼球運動をさせたところ、リハビリに対する意欲が上がったという臨床報告を教えてくれました。

これに関して実は私自身も、そういった変化を目の当たりにしています。

それは私の母です。2020年の8月末に、外で転倒して頭を打って救急搬送されました。状況はひどくて、生命の危機があったため一週間くらいICUに入っていました。その後、なんとか持ち直して、普通病棟に移ったんですが、寝たきりで会話は出来ず、目を少し動かすことしかできないような状態が3ヶ月くらい続きました。

その後、徐々に回復して、何とか車イスに移ることが出来るようになりました。頭を打った場所が、左の後頭部で、うった反動で脳が振られて右の前頭葉も損傷しました。現れた障害は、左の側頭葉にダメージがあったため言語障害と、右前頭葉の障害による認知障害です。幸いなことに運動障害はほとんど起こりませんでした。入院して5ヶ月後くらいに介護認定を受けたんですが、要介護4でした。これは、ほぼすべてのことにおいて全面的な介助を必要とするレベルです。

その後、結局トータルで2021年3月までの約7か月間入院してました。しかし、そのまま家に帰れるような状況ではありません。だから、病院から直接、介護老人保健施設(老健)に入って、リハビリを続けてもらいました。ですが、老健に入ってからリハビリに対する意欲が急激に低下してしまいました。本人から話を聞くと「疲れる、辛い、もういい」みたいなこと言って気力が低下していました。老健は自宅復帰を目指してリハビリを行う施設なので、スタッフの方からは、このままリハビリが出来ないようなら、施設を変わってもらわなければ、なんて話も出だしたりしました。

この時もまだコロナ渦で、面会が月に一回か2回のweb面会だけで、実際に会うことはできませんでした。それが少しするとコロナが落ち着いてきたため、2週間に1回、短時間ですが面会できるようになりました。

この時点で、私は先ほど言った眼球運動によってリハビリの意欲が上がったという話を聞いていたので、会うときに必ず目の動きを確認してトレーニングをしていました。それと、同時期に母の友人が本を差し入れしてくれました。もともと母は本を読むのが好きでした。

そしてしばらくして面会に行ったときにスタッフの人から、最近、急にリハビリを積極的にやるようになったんですよ、って報告を受けました。そこから半年くらいリハビリを頑張った成果で、なんと、2022年5月に自宅に帰ることが出来ました。まだ、介護認定は4のままなのですが、食事の準備とお風呂以外は全て自律して出来るようになっています。トイレも自分で行きますし、家の中は杖も使わずに歩いています。おそらく次の介護認定の更新の時に介護レベルは2か1になると思います。正直、驚いています。最初、病院のベッドに寝ている母を見た時、もう二度と会話をすることも出来ないかもしれない、寝たきりになるだろうな、と思っていました。それが、認知障害や言語障害があるため、多少の問題はありますが、会話が出来るし、歩くこともできています。ここまで回復するとは正直、思ってませんでした。

実際に、どこまで眼球運動が影響を与えたかは分かりませんが、少なからず影響はあったと思っています。それと本も良かったと思います。文字を読むのは、認知機能を使うだけでなく、文字を目で追うので、眼球運動のトレーニングにもなります。あと、やっぱりドクターや看護師、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、ケアマネージジャー、スタッフなど、母に関わってくれたたくさんの人のおかげだと思っています。

結局、何が言いたいかというと、前頭葉を活性化することによって物事に対する意欲が出てくる可能性があるということです。うつ病や統合失調症の人にはとても重要なことだと思います。

もしそういったことで悩んでいる人は、前頭葉の活性化方法を試してみてください。

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