なぜ肩を回すとゴリゴリ音が鳴るの?4つの筋肉の働きが重要

特に痛みは無いけど、肩を回すとゴリゴリ音が鳴る。そんな経験ありませんか?

多くの場合は、インピンジメント症候群と呼ばれるものです。インピンジメントとは「当る」「衝突する」と言う意味です。関節動作時に肩周辺の筋肉や腱、関節包が圧迫や絞扼(こうやく)されておこる現象をインピンジメント症候群と言います。

野球の投球時に痛みが伴う場合は、野球肩とも呼ばれます。放っておくと、炎症を起こし四十肩などの要因になることもあります。

インピンジメントは、肩関節の動作が構造的あるいは機能的な問題で、正常に行うことが出来ないために発生してしまいます。

構造的な問題とは、骨などの構造物の変形など。
機能的な問題とは、筋肉の働き方の異常など。

ここでは、機能的な問題に対して説明と簡単な運動やストレッチで改善させていく方法を書きます。ただ、一般的に多くみられる原因とその対処になりますので、全ての人に効果があるわけではありませんのでご注意ください。

筋肉の働きの問題によって肩を動かす時に音が鳴る

腕を広げる(以下、外転)と、矢印の部分の間隔が狭くなります。ここに関節包や筋肉、腱などが挟まり、動作時に擦れて音が鳴ることがあります。しかし、人の体は本来そういった不具合を起こさないようになっています。その働きを持っているのが筋肉です。

外転させて行く段階で、関節の隙間が狭くならないようにするには、上腕骨頭(腕の骨の丸みのある部分)が最初の位置から離れないようにすることと、上腕骨を後ろに捻じる(骨の形状による効果)ことの2つの作用で、矢印の部分の隙間を確保することが出来ます。

肩の動作に関わる重要な筋肉は回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。回旋筋腱板は、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つを言います。肩のインナーマッスルとも言われています。

※1:背中側から見た図

※2:お腹側から見た図

これらの筋肉はすべて、上腕骨が離れないように関節を安定させる効果があります。しかし、棘上筋は、筋肉の位置の関係上、内下方に引っ張ることは出来ません。そのため、棘上筋が強く働いてしまうと、上腕骨を上に引き上げてしまうので、逆に関節の隙間を狭くしてしまいます。つまり、棘上筋は働き過ぎてしまっては困るのです。後ろ側に捻じる働きを持つのは棘下筋と小円筋です。

これら4つの筋肉のバランスが重要なんです。そして、多くの人が上腕骨頭を内下方に引っ張る筋肉がうまく作用していない場合が多く、肩を動かした際に関節を安定させられず、間隔が狭くなりゴリゴリと音が鳴ります。

筋肉のストレッチ

棘下筋と小円筋は肩甲骨の表面に付いているので、簡単に触れることが出来ます。もしテニスボールを持っているなら以下の方法をお勧めします。

壁と肩甲骨の間にテニスボールを入れて90秒を目安に押し当てます。やっている最中に痛みが増すようでしたら控えてください。

肩甲下筋のストレッチは、反対の手で脇をつかんで親指で脇をグッと押し、ストレッチする側の腕を外旋させながら(親指を背中側に向ける)バンザイ出来る所まで腕を上げて行きます。それを何回か繰り返します。

※脇を押す時は、ストレッチする側の腕はまだ下ろした状態で押します。

脇の押す場所

正面から見る

横から見る

筋肉を働かせる

ストレッチするだけだと筋肉の働きが改善しないので、実際に筋肉を動かして活性化させます。この作業により、上腕骨頭を肩関節から離れないように筋肉が働きます。

右の棘上筋・小円筋のトレーニング

タオルを上の写真のように背中側から回します。左手はタオルが動かないように固定します。右腕の肘を中心軸にして、タオルを体に近付けるように引っ張ります。

タオルは上の写真のように肘に引っかけるようにしてください。

右の肩甲下筋のトレーニング

上の写真のようにタオルを持ちます。左手はタオルが動かないように固定します。右腕の肘を中心軸にして、タオルを体から離れる方向へ引っ張ります。

これらのストレッチしたからと言って、すぐに効果が表れるとは限りません。最初のうちは、何となく良くなったかな?程度かもしれませんが、2週間ほど続けて行ってみてください。

※この2つのトレーニングは、タオルではなくセラバンド(ゴムバンド)を使って行うとより効果的です。

まとめ

腕を動かした際に、肩がゴリゴリ音が鳴る原因は、肩関節の隙間が狭くなり、筋肉や腱、関節包などが擦れてしまうからです。それを解消するにはストレッチと筋肉の運動が効果的です。試してみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です