変形性膝関節症の根本対策:摩擦の抑制こそが真の解決策

変形性膝関節症(OA)の痛み、本当の原因は「摩擦」にある

変形性膝関節症(OA)は、膝関節の軟骨がすり減り、骨同士が擦れたりすることで、痛みや動きの制限が生じる疾患です。よく「軟骨が減るから痛い」と言われますが、軟骨自体に痛みを感じる神経が無いので、擦れること自体が痛みの原因ではありません。実は、痛みを直接引き起こしているのは炎症です。

軟骨がすり減ると、関節の表面が滑らかさを失い、動くたびに微細な摩擦が発生します。この摩擦で生じた軟骨片(カス)が炎症を誘発し、周囲の神経を刺激し、ズキズキした痛みや腫れを引き起こします。

OAは軟骨を増やすだけでは効果がない

よく膝の痛みに対して、軟骨成分の「グルコサミン」「コンドロイチン」「ヒアルロン酸」「プロテオグリカン」などのサプリメントのCMを見かけますが、それを摂ったからと言って、痛みが出なくなるということはありません(それぞれの成分を経口摂取しても、膝の軟骨に作用するとも限らない)。理由は前述したとおり、OAの痛みの原因が軟骨の擦れではなく、摩擦によって生じたカスが炎症を引き起こすからです。たとえ、膝の軟骨が増えたとしても、摩擦が治まらなければ、次のカスが出て再び炎症を起こし痛みとなります。

膝関節の動きを改善する必要性

痛みの原因は、摩擦によって生じるカスが引き起こす炎症なので、摩擦が起きないように関節の運動機能を改善させる必要があります。

もう一つ、関節の潤滑をよくして、動きを滑らかにするということも大切です。その方法に膝の関節腔内に直接「ヒアルロン酸」を注入するという方法があります。また、適度な運動も関節の潤滑を良くす効果が報告されています。

OAに対するマリガンコンセプト(MWM)の効果

マリガンコンセプトとは、理学療法師のBrian Mulligan氏によって提唱された手技です。その手技の一つにMobilization With Movement(MWM)というものがあります。セラピストが関節に無痛のモビリゼーションを加えながら、患者が自ら動作を行う手技です。この手法は関節アライメント(配置)の矯正や運動パターンの改善、痛みの緩和を目的としています。実際に、OAの患者にMWMを行うことで、痛みの軽減や動作が改善したという研究報告があります。

MWMの効果を示すエビデンス

  • ランダム化クロスオーバー試験では、Maitland法とMulligan MWMの両者とも、NPRS(痛みの数値評価)、Timed Up and Go(TUG:高齢者の転倒リスクを評価するためのテスト)、痛みのないスクワット角度のすべてにおいて、介入後に有意な改善が認められました。
    DOI: 10.1016/j.jbmt.2017.09.017
  • MWM単独でも、立ち上がる動作、10 m歩行、TUGなどで痛みと機能が改善されましたが、MWMにキネシオテーピングを組み合わせると、さらに多くの動作テスト(立ち上がり、階段昇降、歩行など)の改善と痛み軽減が得られました。
    DOI: 10.1007/s00264-018-3938-3
  • EULAR(欧州リウマチ学会)の報告でも、MWM+テーピング群が機能的テストと痛みの改善においてプラセボ群やMWM単独群より優れた効果を示した。
    Poster PresentationsVolume 74, Supplement 21315June 2015
  • ランダム化比較試験において、MWM単独群、体幹安定化運動群、膝筋力強化運動群という3群で比較したところ、MWM群と体幹安定化群では、腰痛やADL・スポーツ機能・QOLなど多くのKOOSサブスケールにおいて、膝筋力強化運動群より有意な改善が見られた。
    BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation volume 16, Article number: 105 (2024) 
  • 女性の両側性OA患者を対象にした二重ブラインドRCTでは、従来の理学療法(CP)・MWM・体幹安定化(CS)の3法を比較。MWMは膝関節の屈曲可動域(ROM)を最も改善し、CSは安静時の痛みを最も軽減する効果があることが確認されました。
    DOI: 10.1016/j.jmpt.2024.08.012

まとめ

変形性膝関節症(AO)の痛みや動作の改善には、軟骨成分を増やすだけでは不十分で、根本的に改善するためには摩擦を減らし、軟骨片(カス)が炎症を引き起こさないようにする必要があります。

マリガンコンセプトのMWMは、変形性膝関節症をはじめ、膝の痛みに対して効果を示すエビデンスが多数存在します。中央林間カイロプラクティックオフィスでも、このMWMを取り入れたリハビリを行っております。

この記事を書いた人

中央林間カイロプラクティックオフィス 興津 尚之

カイロプラクター

日本カイロプラクティック徒手医学会 正会員
マニュアルメディスン研究会 正会員
公益財団法人 日本スポーツ協会 認定スポーツプログラマー
Bachelor of Engineering(工学)


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