精神疾患や自律神経失調症の原因について
不安・鬱・心配性・人生が楽しくない・希望が沸かない、というような精神的な悩みと、不眠・動悸・めまい・吐き気・便秘や下痢・倦怠感、というような自律神経の乱れには相関関係があります。
精神疾患には、脳の働き(特に前頭葉と大脳辺縁系)が重要になります。

前頭葉 | 大脳辺縁系 |
やる気・集中 物事の計画や実行 物事の継続能力 行動(衝動)の抑制 会話の開始と停止 性欲制御 眼球運動 運動の計画と実行 動作の開始と停止 歩行 排泄抑制 自律神経調整(脳幹との繋がり) など | 記憶 情動の出現 不安・恐怖 本能(食欲、性欲、睡眠) 自律神経調節 など |
自律神経は交感神経と副交感神経の2種類があり、生命の維持に必要なことを無意識に行ってくれています。例えば心臓の動きや呼吸、内臓の働きなどです。交感神経は闘争と逃走の神経と言われ、体の活動を活発にするために働きます。一方、副交感神経は休息の神経と言われ、体を休めたり回復させるために働く神経になります。主に交感神経は日中に活発になり、日が暮れるにつれて副交感神経の働きが優位になり、体を休息させます。

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このように、脳の働きと自律神経の働きのどちらも、心と身体のあり方に重要になります。だから、精神疾患や自律神経失調症が起こった場合、まずは問題が起こっている機能を改善させる取り組みをしなければなりません。そのために、脳や自律神経に作用する、ホルモンと神経伝達物質の問題を解決する必要があります。これは、骨格の調整やストレッチでは、どうにもならない部分になります。
精神疾患と自律神経失調症の予防と改善方法を詳しく説明していきます。
- 1. 精神と自律神経に作用するホルモンと神経伝達物質
- 2. 精神疾患や自律神経失調症にならないための生活習慣
- 2.1. サーカディアンリズム(概日リズム)の乱れ
- 2.2. 食事(栄養)の問題
- 2.3. 運動不足
- 3. それでも治らない場合の5つの原因
- 3.1. ストレス
- 3.2. ブルーライト
- 3.3. 自律神経の働きを妨げる筋骨格系の問題
- 3.4. 脳や神経の機能的な問題
- 3.5. 貧血・糖代謝異常・甲状腺機能障害
- 4. まず何から始めればいいか悩んだら
- 4.1. 計画を立てる
- 4.1.1. 日中に学校や仕事へ行く人
- 4.1.2. 一日家にいるという人
- 4.1.3. 一日の計画を見直し、修正する
- 4.1.4. 一週間の計画の立て方
- 4.2. 3ヶ月後、あなたの脳は変わります
- 4.2.1. やり遂げられなかった場合
- 5. まとめ
精神と自律神経に作用するホルモンと神経伝達物質
健全な精神活動と自律神経機能は、ホルモンと神経伝達物質の働きによってコントロールされています。ホルモンは血液を介してそれぞれの臓器に作用し、神経伝達物質は神経に信号を伝達して、脳や神経細胞を活性化させます。両方に作用するものもありますが、ここでは以下の表のように分類します。
【主なホルモンの作用】
ホルモン | 作用 |
アドレナリン(エピネフリン) | ・過剰で、交感神経の過活動 ・増加で、心拍数や血圧の上昇 ・減少で、やる気・気力の低下 |
ノルアドレナリン(ノルエピネフリン) | ・過剰で、交感神経の過活動 ・増加で、心拍数や血圧の上昇 ・減少で、集中力の低下、恐怖、驚き |
コルチゾール(エストロゲンと関連) | ・過剰で、体重増加、高血糖、高血圧、女性ホルモンの減少 ・増加で、糖の新生、タンパク質や脂肪の代謝、抗炎症作用、免疫機能低下、女性ホルモンの減少 ・低下で、倦怠感、食欲低下、体重減少、腹痛、微熱、血圧低下、低血糖 |
エストロゲン(女性ホルモン) | ・過剰で、片頭痛、肥満、生理痛、疲労 ・減少で、更年期症状 |
【神経伝達物質の低下で起こる可能性のある症状】
神経伝達物質 | 症状 |
セロトニン | やる気の低下、好きなものに対する関心の低下、プレッシャー、被害妄想、人生が楽しくない、気分が落ち込む、体を動かしたくない、痛みに敏感、など |
メラトニン | 睡眠の質の低下 |
ドーパミン | 希望を感じない、自分を傷つける、ストレスに対応できない、疲れが取れない、人間関係に興味がない、集中力の低下、何事も中途半端(達成できない)、性欲低下 |
GABA | 不安、恐怖、心配、プレッシャー、罪悪感、頭を休めることが出来ない、注意散漫 |
アセチルコリン | 見たものを覚えられない、聞いたことを覚えられない、記憶に穴が空く、理解力の低下、想像力の低下、知っている人の顔が分からない、頻尿 |
ホルモンや神経伝達物質には上記のような作用があります。そのため精神疾患や自律神経失調症には、まずはこれらの働きが正常に行われるようにする必要があります。
次に、ホルモンや神経伝達物質のバランスを崩してしまう要因と精神疾患や自律神経失調症にならないための生活習慣について解説します。
精神疾患や自律神経失調症にならないための生活習慣
精神疾患や自律神経失調症は、上で説明したホルモンや神経伝達物質のバランスが崩れることによって引き起こされます。そして、そのバランスを崩す生活習慣は主に次の3つが考えられます。
- サーカディアンリズム(概日リズム)の乱れ
- 食事(栄養)の問題
- 運動不足
この3つが、精神や自律神経のバランスに大きく関わります。そのため、この基本的な3つの事が出来ていない人は、ここから改善していかなければなりません。
サーカディアンリズム(概日リズム)の乱れ
サーカディアンリズムとは、分かりやすく言うと「規則正しい生活リズム」のことです。人には体内時計という、24時間の周期リズムが備わっています。これは遺伝子に組み込まれているものです。このリズムから逸脱してしまうと自律神経が乱れてきます。そのため、朝起きる時間、寝る時間、3度の食事の時間を、毎日同じ時間に行うことが大切です。
しかし、これを守るためには、決まった時間に目が覚めて、決まった時間にお腹が空き、決まった時間に眠くならなければなりません。そのためには、いくつか注意することがあります。朝は必ず8時前に起きて日の光を浴びてください。それによってセロトニンが分泌されて、体が活動を始めます。そして日没になると、日中に分泌されたセロトニンからメラトニンと言う、睡眠を誘発するホルモンが作られ、入眠しやすくなります。
日没後の電子機器の使用は控え、食事は就寝時間の3時間前には終えるようにし、お風呂は就寝時の60~90分くらい前に入るのがおすすめです。
食事(栄養)の問題
脳腸相関という言葉があります。これは脳と腸はそれぞれお互いに相関関係にあるということです。

腸ではセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどのホルモンや神経伝達物質の前駆体が作られます。そして、腸の情報が迷走神経を伝って脳へ作用します(腸で作られたホルモンが脳へ直接作用することはありませんが、その前駆体が脳へ届き、脳内の神経伝達物質が作られます)。
その結果、腸の状態が悪いと脳の働きを低下させます。脳の働きが低下すると、最初に書いた前頭葉や大脳辺縁系の働きが崩れて、精神や自律神経に影響が出ます。気分が落ち込むと、下痢や便秘をしたり、またお腹の調子が悪いと、気分が落ち込む、とういうような経験がある人もいると思います。
腸を良い状態に保つには、腸内フローラ(腸内細菌叢)の多様性が大事です。そのためには、たくさんの種類の野菜やフルーツ、発酵食品を摂りましょう。例えば、ブロッコリーが体に良いからと言って、ブロッコリーばかり食べるのではなく、いろいろな食品を摂るようにしてください。
【腸内環境が崩れることによって起こる可能性のある症状】
胃腸の症状 | 膨満感・便秘・下痢・腹痛 |
免疫系の問題 | 食物反応・慢性炎症・慢性疼痛・皮膚の病気・自己免疫疾患 |
その他 | 不安やうつ・自律神経失調症・神経変性・代謝異常・肥満・糖尿病・慢性疲労 |
【腸内環境を整えるために意識すること】
避けるべき食品群 | 積極的に取り入れたい食品群 |
トランス脂肪酸 | 発酵食品 |
砂糖 | 脂肪の多い魚(オメガ3脂肪酸) |
グリセミック指数(GI値)の高い食品 (血糖値を上げやすい食品) | 牧草を餌にした動物性飽和脂肪酸 (グラスフェッド) |
オメガ6脂肪酸を多く含むオイル | 濃い緑の野菜 |
グルテンを含む食品 | 赤と青を多く含むフルーツと野菜 |
穀物を餌にした動物性の飽和脂肪酸 (グレインフェッド) | エクストラバージンオリーブオイル |
乳製品を含む食品 | 低温での調理された食品 |
高温で調理された食品 | スパイス |
運動不足
運動には、脳内でセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の合成を助ける効果や、ストレスの解消、ストレスに対する耐久性を上げる効果があります。
セロトニンはトリプトファンというタンパク質が脳へ運ばれて、そこで合成されたものが脳内で作用します。トリプトファンを脳へ運ぶための輸送体はBCAA(分岐鎖アミノ酸)と共通になります。そのため、BCAAが体内にあると、トリプトファンより優先して輸送体を使ってしまうため、脳へ運ばれるトリプトファンが減少してしまいます。そこでBCAAを消費するために、運動する必要になります。ドーパミンもほぼ同じで、ドーパミンの場合はフェニルアラニンというタンパク質になります。また、脳で神経伝達物質を作るためには、タンパク質の他に、酸素や鉄分、ビタミンB6、B9、葉酸などビタミンB群が必要になるので、タンパク質と一緒に摂取してください。
次に運動とストレスの関係について。有酸素運動はストレス発散の効果があり、筋トレなどの無酸素運動にはストレスへの耐久性を上げる効果があります。ストレスの発散については、運動以外でも、何か自分に合ったものがあればそれでもかまいませんが、ストレス耐性を上げるには、筋トレが有効になります。特に高強度インターバルトレーニング(HIIT)がストレス耐性の向上には向いていますが、運動経験の少ない人が独自で行うと、怪我のリスクがあるので、専門家に相談してください。
それでも治らない場合の5つの原因
上の3つの基礎が出来ているにもかかわらず、精神疾患や自律神経失調症が治らない場合について解説します。この場合に考えられる原因は次の5つです。
- ストレス
- ブルーライト
- 自律神経の働きを妨げる筋骨格系の問題
- 脳や神経の機能的な問題
- 貧血・糖代謝異常・甲状腺機能障害
ストレス
ストレスを受けると、副腎皮質からストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。上の表にも書いたようにコルチゾールの働きは、糖の新生、たんぱく質代謝、脂肪の分解など、代謝の促進を行ってくれます。そして、抗炎症作用と免疫の抑制作用もあります。これらの機能は生命活動に必要な機能であり、適度なコルチゾールの分泌は必要な反応になります。
しかし、コルチゾールは、同じ副腎皮質で作られているエストロゲンやテストステロンなどの性ホルモンより優先して作られるので、ストレスが長く続くと、コルチゾールが過剰に作られ続け、性ホルモンが減少して、ホルモンバランスが崩れてしまいます。さらに、記憶に関わる脳の海馬は、コルチゾールに対してとても弱く、コルチゾールが長く分泌され続けると、海馬が委縮してしまい、物忘れや、言葉が出てこない、場所が分からないなど、記憶障害を引き起こす可能性があります。
つまり、ストレスが常にかかっている状態では、精神や自律神経の乱れを完全に治すのは難しいという事でもあります。そのため、可能であるならばストレスの原因を解決しましょう。とはいっても、仕事や人間関係で、容易に解決できないこともあると思います。その場合は、ストレスを発散するか、ストレス耐性を上げることで対処が可能です。これについては、前述の「運動不足」のところで説明した通りです。
ブルーライト
スマートフォン、パソコン、テレビ、LEDライトなどから発せられるブルーライトは、サーカディアンリズムを狂わせます。ブルーライトは波長の短い光のことで、これは陽の光に似た波長です。この波長の光を浴びていると、脳は現在の時刻を日中と勘違いして、セロトニンを分泌させます。その働きによって脳や体は活発になり、睡眠の質を低下させてしまいます。睡眠の質が低下することで、サーカディアンリズムが狂ってしまいます。
一番の対策は、日没後はブルーライトを発する機器の使用を控える事。それが難しい場合は、ブルーライトを軽減するフィルムやメガネなどを利用し、少しでもブルーライトの影響を減らしましょう。
自律神経の働きを妨げる筋骨格系の問題
自律神経は、以下の図のように体に分布しています。交感神経は主に背骨の首から腰にかけて走行し、そこからそれぞれの臓器に枝分かれします。副交感神経は首の上部と骨盤から枝分けれして、それぞれの臓器に向かいます。

この途中で筋骨格系の問題(関節の歪みや筋肉のコリなど)によって、自律神経の流れが阻害されてしまうことで、自律神経乱れを引き起こすことがあります。
例えば、胃の調子が悪い場合。上の図を見てください。胃には、背骨の真ん中あたりから枝分かれした、交感神経の赤い線の大内臓神経の一部が繋がっています。それともう一つ、首の上部の延髄から枝分かれした、副交感神経の青い線の迷走神経も繋がっています。だから、胃の自律神経の問題が起こった場合、背骨の真ん中あたりと、首の上部の筋骨格系の問題が関わっている可能性が考えられます。(例:慢性的な首こり、肩こりが迷走神経の働きを阻害するかもしれません。)
このように、問題が起きている臓器から、自律神経の走行をたどって、原因となる場所を調べます。そして症状と筋骨格系の問題が起きている場所が一致した場合、それが神経の流れの邪魔をし、自律神経のバランスを崩している原因の可能性があります。
脳や神経の機能的な問題
最初にも説明しましたが、精神疾患と自律神経失調症には脳の働きが重要です。これらはホルモンや神経伝達物質によって機能します。それと、もう一つ重要なことがあります。正常に脳や神経が機能するためには、正しいタイミングで、その時に必要な脳や神経細胞が活動してくれなければなりません。
脳や神経には可塑性があります。これは、刺激が長く続くことによって、刺激を取り除いても、脳や神経の構造や機能が変化したままになる状態のことです。この可塑性は脳や神経の特徴でもあり、決して悪い事ではありません。これによって何度も運動を繰り返せば、運動が上達したり、勉強を繰り返せば、それを学習することが出来ます。しかし、負の感情を覚えてしまったり、痛みを記憶してしまったりしてマイナスの側面もあります。
例えば、不安や恐怖という感情。これは過剰になり過ぎると、不安障害やパニック障害を起こし、精神活動の問題を引き起こしますが、必要のない感情ではありません。適度な不安や恐怖は、危険を回避する行動に繋がります。逆に、不安や恐怖を全く感じないと、平気で危険な行動をしてしまいます。だから、不安や恐怖は、正しいタイミングで働いてくれることが重要です。
しかし、一度、精神活動に問題が起きると、正しいタイミングで正しい感情が働かなくなることがあります。例えば、パニック発作を経験したことがある人は、その時の経験が頭から離れず、あらゆる場面で「また起きるんじゃないか」という不安感を引き起こしてしまうようになります。もし、最初のパニック発作が、セロトニン神経やGABAの働きの問題によって起こったことだとして、現在はそれらのホルモンや神経伝達物質がちゃんとしていても、最初の経験で脳や神経が正しく機能しなくなってしまい、再びパニック発作を起こすもあります。そして、その状態が続くと症状が固定されてしまいます。
これを改善するためには、出来るだけ早い時期から、脳が正しく機能するようにトレーニングするとことが大切です。何もしないで、脳や神経の働きが改善することあありません。
貧血・糖代謝異常・甲状腺機能障害
貧血・糖代謝異常・甲状腺機能障害(バセドウ病・橋本病)、これらがあると、精神疾患や自律神経失調症の改善は容易ではなくなります。
貧血とは、血液中のヘモグロビンが減少した状態です。ヘモグロビンは体のあらゆる細胞に酸素を送ります。もちろん脳にも酸素が送られます。そのため貧血があると、それだけで脳は正常に機能することができません。また、ホルモンや神経伝達物質を合成する際に鉄分が必要になるため、鉄分不足はホルモンや神経伝達物質の不足を引き起こします。
糖代謝異常は、ホルモンや神経伝達物質の合成を妨げます。また以下の図のような問題を引き起こします。糖を摂取した後に、精神的な変化が起こる場合、機能性低血糖を起こしている可能背があります。

ひめのもとみクリニックHPより引用
http://www.himeno-clinic.com/teikettou/
甲状腺機能障害は、甲状腺ホルモンの合成に影響を与えます。
以上のように、これら3つの内のどれか一つでもあると、それがホルモンや神経伝達物質の合成、脳の機能に影響を与えます。だから、まずはこれらの改善に取り組まなければなりません。
まず何から始めればいいか悩んだら
その前に、上の項目にも書きましたが「貧血・糖代謝異常・甲状腺機能障害」がある人は、これらの治療にしっかり取り組んでください。これは何よりも優先される条件になります。
ここまで読んで、なんとなく精神疾患や自律神経失調症の原因が分かったと思います。ただ、全て取り組んだ方が良いのは分かっていても、そう簡単に全てに取り組むことは出来ないですよね。では、何から取り組めばいいか悩んでしまった人にアドバイスをしたいと思います。
もし、頼れそうな医師や治療家がいるのであれば、そこで相談してください。全部を一人で解決するのは非常に難しいです。自分一人で取り組んでいると、効果が出ているのか判断が難しかったり、勘違いや間違ったことを続けてしまったりしてしまうこともあります。専門家に診てもらえば、効果を客観的に分析してくれます。当院であれば、例えば、前頭葉を使ったテストの結果が良くなっているか、だったり、自律神経の働きの検査が良くなっているかを毎回チェックします。
専門家に相談することが難しい人は、次のことに組んでみましょう。これが達成できれば、きっと良い結果が出ると思います。
計画を立てる
生活習慣の計画を立てましょう。そして計画通りに行動するように意識してください。最初は、翌日の1日の計画だけを立てます。それを1ヶ月続けられたら、追加で1週間の予定を立てます。それを2ヶ月続けるように頑張ってください。計画は、必ずノートなどに書き出して残してください。
まずは、翌日の計画の立て方。初めに計画を立てる時間を決めます。そして、毎日その時間になったら翌日の計画を立てましょう。ただし、その時間があまり夜遅くならないようにしてください。就寝の60~30分には翌日の計画を立てておきましょう。計画を立てる時間が決まったら、次に
- 起床時間を決める(朝8時までには起きる)
- 起床時間から逆算して、寝る時間を決める(起床時間の7~8時間前。理想は8時間前)
- 食事の時間を決める(朝・昼・晩)
- お風呂に入る時間を決める
この4つはほとんど毎日変わらないと思います。ですが、毎日ノートに書きだしてください。
日中に学校や仕事へ行く人
学生や、仕事をしている人は、出勤時が決まっていると思いますので、それを書き出して下さい。帰宅時間はその日の部活や仕事内容によって違うと思いますが、おおよその時間で良いので書いてください。そして出来るだけ、その時間に帰れるように日中の行動を調整してください。もし、帰宅途中などに寄り道をする場合は、その行き先や時間も書きましょう。もし普段、全く運動をしていない人は、出勤前にラジオ体操を計画に入れてください。
学校や仕事が休みの日は、次のようなことをプラスします。
- 外出先と出発する時間と帰宅時間を書き出す
- 洗濯や掃除をする時間を決める
- テレビやゲームをする時間を決める(連続して90分を超えないようにしましょう)
このような感じで、翌日一日の行動をノートに書きだして下さい。もし余裕がある人は、食事の内容も計画して書き出しましょう。
一日家にいるという人
学校や仕事もなく、一日家にいるという人は、次のように計画を立てます。
- 起床時間を決める(朝8時までには起きる)
- 起床時間から逆算して、寝る時間を決める(起床時間の7~8時間前。理想は8時間前)
- 食事の時間を決める(朝・昼・晩)
- お風呂に入る時間を決める
ここまでは同じ。それ以外に
- 買い物や散歩など外出する計画を立てる(難しい人は、窓際などの陽の光が当たる所でラジオ体操をする)
- 洗濯や掃除をする時間を決める
- テレビやゲームをする時間を決める(連続して90分を超えないようにしましょう)
このような感じで、翌日一日の行動をノートに書きだして下さい。もし余裕がある人は、食事の内容も計画して書き出しましょう。
一日の計画を見直し、修正する
その日が終わったら、翌日の計画を立てる前に、今日の行動計画を見直しましょう。何が予定通りできて、何が予定通りできなかったのか、書き出してください。そして、予定通りにいかなかったことがあれば、それを修正して、翌日の計画を立てましょう。
一週間の計画の立て方
一週間の計画の立て方は、大雑把で構いません。
- 月曜は仕事帰りに、ショッピングをする。
- 水曜は同僚と食事に行く。
- 土曜は美容室に行く。
- 日曜はお昼に外食する。
こんな感じで、毎日行う事とではなく、特殊な予定を書きましょう。もし、全くそういった予定が全くない人は、予定を入れてみましょう。実際に行動できなくても構いません。やってみたいなと思うことを、とりあえず書いてみてください。例えば、日曜に映画を見に行く、とか。そして、前日の計画段階で、映画に行けるかもと思ったら、予定に入れて実行してみましょう。
3ヶ月後、あなたの脳は変わります
これを3ヶ月間、頑張って続けてください。そうすると、あなたの脳は必ず変わります。前頭葉が活性化して、無気力ではなくなっているはずです。もしかしたら自律神経のバランスも以前より良くなっているかもしれません。前頭葉の働きは、最初に書きました。ここにも載せておきます。
前頭葉 | 大脳辺縁系 |
やる気・集中 物事の計画や実行 物事の継続能力 行動(衝動)の抑制 会話の開始と停止 性欲制御 眼球運動 運動の計画と実行 動作の開始と停止 歩行 排泄抑制 自律神経調整(脳幹との繋がり) など | 記憶 情動の出現 不安・恐怖 本能(食欲、性欲、睡眠) 自律神経調節 など |
あなたが3ヶ月間続けたことは、前頭葉の働きである「物事の計画や実行」「物事の継続能力」です。それによって、あなたは前頭葉が働くように、脳の構造や機能が変化しているはずです。この変化こそが「脳や神経の機能的な問題」の項目のところに書いた、脳や神経の特徴である神経の可塑性です。
ここまでできたら、きっと、他のこと(食事や運動)にも取り組める意欲が出ているはずです。今度はそちらを意識して変えていってください。
やり遂げられなかった場合
残念ですが、やはり自分一人だけで改善することは難しいかもしれません。できれば専門家を頼ってください。
まとめ
精神疾患や自律神経失調症を起こさないためには、ホルモンや神経伝達物質がちゃんと腸や脳で作れらなければなりません。そのためには、ストレスを減らし、規則正しい生活(サーカディアンリズム)をし、腸の健康を意識した食事と、適度な運動を行う必要があります。そして、精神や自律神経に影響を与える、筋骨格の問題などもあれば、それも取り除く必要があります。
一人で全てを行うことは難しいので、周りの人の協力も必要になると思います。それでも難しい人は、専門家に相談しながら、改善に向けて取り組みましょう。
当院に来院された場合は、次のような対応を致します。
まずは、現在の体の状態を詳細に把握するために、200問以上に及ぶ「脳機能」と「ホルモン・神経伝達物質」に関するアンケートを記入していただきます。さらに、問診と検査を行い、問題がどこにあるのか分析します(例えば、前頭葉の判断力や注意力を必要とする動作をしてもらい、前頭葉がしっかり機能しているかみます)。分析結果をもとに、筋骨格系や脳の機能の問題に対して施術やトレーニング・リハビリを行います。加えて、その人に必要な、生活習慣や食事、運動に関するアドバイスを行います。後者に関しては、ご自身で取り組んでいただきます。詳細は「心と身体のケア」のページをご覧ください。