運動の重要性を示すエビデンス
健康のために運動が大切だと言うことは、広く一般的に知られていますが、肩こりや腰痛などの筋骨格系の問題をはじめ、様々な疾患で悩んでいる人の多くは定期的に運動が行えていません。今回は運動の重要性についての科学的な根拠を紹介したいと思います。その際に、身体活動の強度METsという数値が出てきますので、まずそれについて解説します。

(国立健康・栄養研究所 – 改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』)
【身体活動の強度METs】
中等度:3〜6METs。楽に行える程度からややきついと感じる程度の運動。最大心拍数※の50~60%の運動強度。
高強度:6METs以上。スポーツなど、きついと感じる運動。最大心拍数※の80%以上の運動強度。
※最大心拍数=220-年齢
運動の重要性を示すエビデンス
アメリカのCDCによると、慢性疾患や障害を抱えている人も、運動が重要だと提唱しています。
- 慢性疾患または障害のある成人で、運動能力のある人は、中等度の有酸素運動を週に150分~300分、または高強度の有酸素運動を週に75分~150分、あるいは中等度と高強度の有酸素運動を同等に組み合わせて行うべきです。有酸素運動は週を通して行うのが理想的です。
- 慢性疾患や障害を持つ成人でも、可能であれば、中等度以上の強度ですべての主要筋肉群を動かす筋力強化活動を週に2日以上行うと、さらなる健康効果が得られます。
【出典:Physical Activity Guidelines for Americans, 2nd edition】
カナダのCJCでは、早期死亡のリスクが少なくとも20%~30%減少するという報告しています。CJCでは週150分の半分の身体活動量でも、著しい健康効果(罹患率および早期死亡リスクの低減を含む)が期待できると言っています。
- 定期的な身体活動が健康にもたらすメリットは否定できません。事実、誰もが活動的な生活から恩恵を受けることができます。定期的な身体活動が、25を超える慢性疾患および早期死亡のリスクが少なくとも20%~30% 減少するという圧倒的な証拠があります。
- 1日15分(または週90分)の中強度の身体活動によって、すべてのがん、心血管疾患、糖尿病、及びあらゆる原因による死亡リスクが大幅に減少することを報告しました。1日15分の身体活動によって全死亡リスクが約14%減少することである。毎日の身体活動が15分増えるごとに(1日最大100分まで)、全死因死亡リスクが4%、全がん死亡リスクが1%減少した。
【出典:Volume 32, Issue 4p495-504April 2016】
日本の厚生労働省や研究機関も、身体活動の重要性を訴えています。
- 身体活動量が多い者や、運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いこと、また、身体活動や運動が、メンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められている。更に高齢者においても歩行など日常生活における身体活動が、寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが示されている。
- 生活習慣病の予防などの効果は、身体活動量(「身体活動の強さ」×「行った時間」の合計)の増加に従って上昇する3)。長期的には10分程度の歩行を1日に数回行なう程度でも健康上の効果が期待できる。家事、庭仕事、通勤のための歩行などの日常生活活動、余暇に行なう趣味・レジャー活動や運動・スポーツなど、全ての身体活動が健康に欠かせないものと考えられるようになっている。
【出典:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html】
- ストレスに起因した「心の病」が急増し、平成23年7月に厚生労働省は、患者数が323万人と急増し社会問題にもなっている精神疾患を、これまでの「4大疾病」に新たに加えて「5大疾病」として、重点的な対策を進めていくことを決めましたが、うつ病などの精神疾患の予防・改善にも運動が有効であることが報告されています。適度な運動習慣により、免疫活性が高まることも報告されており、ストレスの健全な解消法として、心の病にも体を動か すということが心身のバランスを保つ上で大変重要です。
【出典:日本健康運動研究所 https://jhei.net/exer/basics/ba00.html】
「中等度の有酸素運動を週に150分~300分、または高強度の有酸素運動を週に75分~150分」と言うのは、WHOのガイドラインにも記載されていて、ほとんどの国の共通ガイドラインになりますが、CJCは、その半分の身体活動でも、著しい健康効果が期待できると言っています。
座位がもたらすリスク
運動不足とは別に、1.5METs以下の座位で行う行動(デスクワーク、テレビ、ゲーム、車の運転、読書)の時間が長くなると、慢性疾患の発症リスクや早期死亡リスクが上昇することも分かっています。
アメリカ医療ジャーナル(American Journal of Preventive Medicine)に掲載された情報では、「高齢女性を対象とした新たな研究によると、長時間座っていると早死にするリスクが高まることが明らかになった。研究に参加した女性が、仕事中、運転中、ソファに寝転んでテレビを見る、あるいはその他の余暇活動に時間を費やすほど、心臓病やがんを含むあらゆる原因で早死にするリスクが高まった。」と言う報告があります。
これは普段、中~高強度の運動を普段から行っていたとしても、座る時間が長ければ死亡リスクが高まるということだそうです。
【出典:Volume 46, Issue 2p122-135February 2014】
コロンビア大学とニューヨーク・プレスビテリアン/ワイル・コーネル医療センターの研究によると、
- 1日13時間以上座っている人は、1日約11時間未満座っている人に比べて、死亡リスクが2倍。
- 30分未満の連続した座り方を頻繁に行う人は、30分以上連続して座っている人に比べて死亡リスクが55%低い。
- 頻繁に90分以上続けて座っている人は、いつも90分未満しか続けて座っていない人に比べて、死亡リスクがほぼ2倍高かった。
【出典:https://edition.cnn.com/2017/09/11/health/sitting-increases-risk-of-death-study/index.html】
ここで注目したいのは、中~高強度の運動を普段から行っていたとしても、座る時間が長ければ死亡リスクが高まるということです。ただでさえ座位の時間が長くなれば、死亡リスクが上がるのに、さらに身体活動や運動をしないと、座位の時間が増えてしまいます。だから、立って体を動かす時間を増やし、出来るだけ座っている時間を減らすということが、健康を維持するうえで重要になります。
もし、皆さんが健康の悩みがあり、現在、運動が出来ていない場合、まず軽い運動でもいいので、体を動かし座っている時間を減らすように意識してみてください。運動による怪我が不安で出来ないという人もいますが、運動で起こる可能性がある急性のリスクより、運動で得られるメリットの方が大きいという風に言われています。それでも心配な方は、医療関係者や運動トレーナーに相談しながら行ってみてください。
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