まだ誤解されてるストレッチ 運動前は?運動後は?

私が学生の時は、体育の時間の前や、部活の前などに、ゆっくりと筋肉を伸ばすストレッチを行うことが当然でした。今でも当然のように行っている人も少なくないと思います。皆さんこのストレッチを何のためにやっていますか?

  • 怪我の予防
  • 運動パフォーマンスの向上

多くの人がこんなふうに思っているんじゃないでしょうか?実は運動を行う前にやる筋肉を伸ばすストレッチには、上記の効果はありません。

ストレッチは時と場所でやり方を変える必要がある

皆さんがストレッチと聞いて思い浮かべるやり方は、おそらく「静的ストレッチ」と呼ばれる、筋肉をゆっくりと伸ばしていくものだと思います。実はこのストレッチを運動前に行うと、運動パフォーマンスが低下するだけでなく、怪我をするリスクも上がります。

静的ストレッチの効果は、硬くなった筋肉が伸び、関節可動域が広がって体が柔らかくなる。血流が良くなることで筋肉の疲労が回復してリラックスできる。と、いったようなことです。これだけ聞くと、やっぱり運動前に行っても良いように聞こえますよね。でもダメです。なにがダメなのかと言うと、筋肉が伸びてしまうことと、リラックスしてしまうこと。

基本的に、運動前は体を暖めることを目的とした「動的ストレッチ」、運動後は筋肉をリラックスさせる「静的ストレッチ」を行うようにしましょう。

静的ストレッチは運動後に

筋紡錘という筋肉の長さと緊張を監視しているセンサーがあります。これは筋肉中にある錘内筋線維が引き伸ばされることで発火します。発火すると筋肉を収縮させる反応が起こります。脚気の検査で、膝の下を打腱器で叩くと膝が伸びるのは、この反応によるものです。

筋紡錘の感度の低下

静的ストレッチを行うと、筋肉が引き伸ばされていきます。ゆっくりとした伸張刺激には筋紡錘は反応しません。すると、筋線維がたるみます。当然、錘内筋線維もたるむので、センサーの感度が低下します。

※ちょっと脱線しますが、強いマッサージを行うと、筋紡錘が発火することがあります。すると、当然、筋肉が収縮してしまうので、逆に筋肉が硬くなってしまいます。強いマッサージが好きな人が、いつも筋肉が凝っているのはこのためです。

たとえば、足首を捻ってしまった場合、筋肉が引き伸ばされます。筋紡錘の感度が高ければ、筋肉が急激に引き伸ばされたのを感知して、それ以上引き伸ばされないように収縮させて怪我を防ぐことが出来ます。もし、このセンサーの感度が低下していたなら、筋肉が伸ばされ続けて壊れてしまう可能性があります。

トレーナーによっては、運動前に静的ストレッチを行う人もいると思います。もし、ちゃんとした知識を持っているトレーナーだったら、その後に必ず、筋紡錘の感度を上げる運動を取り入れていると思いますので、運動前の静的ストレッチ全てが悪いと言う訳ではありません。

静的ストレッチはリラックスしてしまう。

静的なストレッチって、気持ち良いですよね。とくに人にやってもらうと、いつまででもやってもらいたいくらいです。でも、よく考えてください。これから運動しなければならない時に、そんなにリラックスしていいのでしょうか?リラックスしてしまうと副交感神経の働きが優位になり、筋肉への血液供給量が減って体の活動が低下してしまいます。それじゃダメですよね。運動前は交感神経を高めて、適度な緊張が必要になります。

静的ストレッチは運動の後で

静的ストレッチを行うと前述のように、筋紡錘の感度が低下してしまうため、運動前に行うことは危険になります。しかし、運動後に行うことで、その効果を発揮します。

運動後、筋肉が硬くなったまま放っておくと、血流が悪くなりコリや痛みの原因になります。しかし、静的ストレッチを行うと、筋紡錘の感度が低下することで、筋肉がゆるんでリラックスでき、血流も良くなるので、運動で傷ついた筋肉をより早く回復させることが出来ます。

運動前の動的ストレッチ

運動前に行うべきことは、分かりやすく言うと「体を温める」ということ。それには、ゆっくり伸ばすような静的ストレッチでは効果がありません。もっと体を動かしたストレッチが必要です。それを動的ストレッチと言い、皆さんが知っているものだとラジオ体操がそれに当ります。体をリズミカルに動かし、筋肉の収縮と伸張を繰り返す運動のことを言います。

動的ストレッチで体を暖める理由は

  1. 怪我の予防(筋肉が温まり柔軟性が上がる)
  2. 心拍数を上げることで、筋肉へ血液をたくさん送ることが出来る(筋持久力や筋力の向上)
  3. 神経の働きがスムーズになる(筋肉の反応速度の向上)

などです。

どんなことをすれば良いの?

個人的には、あまりストレッチと言う言葉に囚われず、ウォーミングアップで全身を温めればいいと考えています。もちろん年齢や健康状態によって、やることを変える必要があります。高齢の方であればラジオ体操でも良いと思います。

一般的な健康の人であれば、まずは軽いジョギングから始めてみましょう。汗が出だすまで走りましょう。季節にもよると思いますが10分位が目安だと思います。体があったまったら、今度は、肩甲骨や背骨を動かして胸郭(胸を囲む骨全体)を広げるような運動を行いましょう。この目的は、胸郭を広げることで酸素を取り入れやすくすることです。腕を大きく回したり、肩と肩甲骨を回したりしてください。この二つくらいは最低限行うようにしましょう。

もし、あなたが競技選手であるならば、神経系のトレーニングも欠かすことが出来ません。例えば、筋紡錘の感度をより上げたいのなら、コンセントリックな運動を取り入れたり、動きの精度を上げたいなら小脳系のトレーニングを行ったりと、競技者のレベルが上がれば上がるほど、競技前の準備運動が重要になります。

まとめ

「動的ストレッチ」は運動の前に、「静的ストレッチ」は運動の後で行うことで、効果が発揮されます。この順番が逆になっただけで、効果が無いどころか、怪我のリスクまで上がってしまいますので注意してください。

お風呂に入った後に、静的ストレッチを行ってから寝ると、翌日、体が楽になるので、運動をしない人も、入浴後にやってみてください。

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