神経の健康とセロトニンとメラトニンと運動

機能性医学

先日、機能性医学のセミナーに3日間参加してきました。そこで学んだことの復習を兼ねて、自分なりにまとめることにしました。何回かに分けてまとめていこうと思います。まずはセロトンなどの話について。

セロトニンとメラトニンってほとんどの人が聞いたことがあり、良いイメージを持っていると思います。それぞれは脳内神経伝達物質の一つで、セロトニンは感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わり、メラトニンは睡眠に深く関わっています。

セロトニン不足でよく聞く障害はうつ、メラトニン不足でよく聞く障害は睡眠障害ではないでしょうか。セロトニンは痛みにも関係しています。メラトニンは強い抗酸化作用を持っています。メラトニンはセロトニンから合成されます。つまり、セロトニン不足があれば、当然メラトニンも不足します。

そこで、セロトニン(メラトニンも)を増やすために必要なことをまとめていきます。出来る限り、一般の人にも分かりやすいような表現を使って書きます(例:ニューロンを神経というように大雑把に書いたり)。

神経の健康

と、その前に前置き。神経の健康について。当然ですが脳は神経の塊です。

神経の健康には

  1. グルコース(ブドウ糖)と酸素
  2. 刺激(活動電位)
  3. 細胞代謝、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、など

今回の記事で特に重要になってくるのが1のグルコースと酸素です。2の刺激とは、運動による刺激はもちろんですが、5感(触・視覚・聴覚・嗅覚・味覚)全ての刺激です。

鉄について

鉄は、今回まとめる記事全てに関わってきますので、まずはこれを押さえておいてください。

酸素は赤血球中にあるヘモグロビンによって運ばれます。さらにヘモグロビンの生産には鉄が欠かせません。基本的に鉄は食物やサプリメントなどを経口(口から)摂取します。

葉酸(B9)やメチルコバラミン(B12)はヘモグロビンの成長をサポートはしてくれます。

食物中の鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、前者は肉や赤身魚に含まれ、後者は牛乳や卵、野菜に含まれています。そして、ヘム鉄と非ヘム鉄では吸収率が違います。ヘム鉄は摂取した鉄分の約10%、非ヘム鉄は約1%が吸収されます。つまり、非ヘム鉄で1日に必要な鉄分を取ろうとした場合、大量の牛乳や卵、野菜を取らなければならないので、ヘム鉄を取った方が効率的です。

1日に必要な鉄分の摂取量については、以下のページが参考になります。

健康長寿ネット:ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量

ATP(アデノシン三リン酸)について

ATPはたくさんのエネルギーを蓄えています。そのたくさんのエネルギーは、ATPがADP(アデノシン二リン酸)とリン酸に分解される時に発生します。そのエネルギーを使って人は活動を行っています。

ATPを作るためにはグルコースと酸素が必要です。ここで酸素が出てきました。酸素は上で書いたように赤血球によって運ばれてきます。そして、そのためには鉄が欠かせませんでしたよね。

~寄り道~
神経はATPがないとナトリウムイオン(Na+)が増えすぎてしまいます。みなさん、ナトリウム(塩)をたくさん摂取したらどうなりますか?のどが渇きますよね。つまり、ナトリウムイオンが増えすぎると、神経細胞は水分をたくさん取り込むようになります。それによって細胞障害性浮腫が起こります。つまり「脳のむくみ」です。これは頭痛、嘔吐、うっ血、など様々は障害を引き起こします。

セロトニンとメラトニン

さて、ようやく今回の記事の本題に入ります。

セロトニンとメラトニンは以下の工程で作られています。

  1. タンパク質の摂取
  2. タンパク質を分解してTrp(トリプトファン)を取りだす
  3. LNAA(大型中性アミノ酸)トランスポーターに乗ってBBB(血液脳関門)を通過する
  4. 酵素の働きにより5-HTPを介してセロトニンが作られる
  5. セロトニンは酵素の働きによりN-アセチルセロトニンを介してメラトニンがつくられる

図中の濃緑の文字は酵素です。青文字(この中に鉄があるのに注目)は必要な栄養素やホルモンです。

問題がなければ以上の様な流れでセロトニンとメラトニンが作られます。

しかし、セロトニンの生産を妨げるものがあります。それはBCAA(分岐鎖アミノ酸)の存在です。BCAAは必須アミノ酸の内のバリン、ロイシン、イソロイシンの3つのものを示します。

TrpはLNAAトランスポーターに乗ることでBBBを通過することが可能になるわけですが、LNAAトランスポーターにはBCAAも乗ることができ、両方とも乗ることはできません。LNAAトランスポーターに乗るための優先順位はBCAAの方が高いため、BCAAをなんとかしておかなければなりません。

~寄り道~
コルチゾールはメラトニンの合成を抑制します。コルチゾールはストレスホルモンと言われていて、副腎皮質から放出されます。ストレスは身体的および肉体的の両方です。ストレスがかかるとコルチゾールが2~3倍増加します。

運動

BCAAがLNAAトランスポーターに乗って脳へ行かせない様にするには、BCAAを末梢の細胞で消費させてあげなければなりません。そのために必要なのが運動です。運動することによってBCAAは分解され筋肉を作るために使われます。

さて、運動するためには当然ですがエネルギーが必要です。

エネルギーはATPが分解される時に作られるんでしたよね。そして、そのATPにはグルコースと酸素が必要。

セロトニンと痛み

セロトニンは痛みを抑制する作用にも関わっています。

下降性疼痛抑制経路という痛みを脳へ伝えないように抑制する働きをもつ神経の経路があります。その一つはセロトニンによって作動します。この活動が低下していると、本来、この下降性疼痛抑制系の働きで抑えることが出来た痛みも、脳が認識してしまいます。

まとめ

セロトニンの合成には青文字で書いたO2、鉄、BH4、B6、ナイアシンアシド、B9、B12が必要です。BCAAを末梢組織に吸収させるためにはインスリンの分泌が必要で、それには適度な炭水化物を摂取し、適度な運動をする必要があります。

もし、あなたが何か体の問題を抱えていて、さらに貧血の問題を抱えていたのならば、まずは貧血を改善してください。それが第一歩になります。

次回はドーパミンについてまとめたいと思います。