整体師が患者さんにするべき質問【問診】
整体やカイロプラクティックなど、治療院では施術を行う前に必ず問診を行います。
問診を行う理由は、患者さんが症状の原因となりそうなものを見つけ、どのような検査をすれば症状の原因を見つけられるか見当をつけるためです。もちろん問診だけで、症状の原因を特定することは無く、その後に行う検査と合わせて、方針を考えます。
場合によっては、整体やカイロプラクティックではなく、病院で治療を受ける必要のある問題が隠れているかもしれません。
もし、あなたが辛い症状に悩まされていて、行ったところが問診もせず、いきなり「ベッドへ寝てください」と言うような所はお勧めできません。施術家もそれをしてはいけません。
問診で聞くべきことは、症状の発症した状況や、その後の症状の変化などはもちろんですが、普段の生活習慣や運動歴なども聞きます。
既往歴については問診票に記入してもらい、症状の原因を考える上で必要だと思ったら、本人に詳しく話を聞きます。
以下は、コリや痛み、しびれなどを訴えてきたクライアントさんが来た場合にする問診です。
医療機関の受診の有無
患者さんが訴えている症状について、病院はもちろん、整体やカイロプラクティック、鍼灸院、接骨院、マッサージ、など、自分のところ以外で治療を受けたか確認します。
病院へ行っているのであれば、診断名や画像撮影(レントゲン、MRI、CT、など)の有無、薬の服用の有無なども確認する。ただ、病院の診断名に囚われないでください。たとえ「腰椎椎間板ヘルニア」という診断を受けていても、必ず自分で検査を行ってから判断(診断ではありません)します。
整体などを受けているのであれば、大体でいいので、どのような施術を受けたか確認します。
それと、何回通ったかも聞きます。たまたま行った所が酷かった可能性もありますが、一回しか通わず、何件も行っているような患者さんの場合、一度の施術で劇的な変化を求めている可能性があります。
患者さんの体をしっかりとチェックし、場合によっては、そのような劇的な変化は起こらず、地道に施術していく必要があることを説明し、分かってもらう必要があります。そうしないと、自分の所でも一回受けただけで他へ行ってしまいます。
症状について
- 痛みの場所は?
- 局所的か?広範囲か?
必ず症状のある部分を、本人に手で触ってもらったり、指で示してもらって場所を確認します。意外と、図に○を付けてもらったり、口頭で言っている場所とズレていることがあります。
- 局所的か?広範囲か?
- 症状がいつ、どのように出たのか?
- 事故などの衝撃か?
捻挫や骨折などを疑う必要があります。 - 急に症状が出たのか?
炎症が起きている可能性があります。 - 慢性的なのか?
普段の生活習慣に問題があります。 - 1日のうちで症状が悪化したのか?
きっかけが何かあると思います。ちょっとぶつけた、など。徐々に炎症が広がってきた可能性があります。 - 数日前から違和感があり徐々に悪化してきたのか?
問題を起こしている場所に、負担がかかり続けているため、徐々に悪化してきた可能性があります。筋肉の問題だけでなく、体のバランスも考える必要があります。
- 事故などの衝撃か?
- その時なにをしていたのか?
- 運動中か?
衝撃によるものか、疲労によるものか、無理な身体の使い方によるものか、などが考えられます。 - 車の運転中か?
腰痛であれば、大腰筋や殿筋などへの負担が原因かもしれません。 - 荷物を持つ時か?
ぎっくり腰などの急性痛や、筋肉を動かす機能(運動命令や調節。小脳など)に問題があるのかもしれません。 - 就寝中か?
跳び起きるような頭痛であれば、脳血管系の問題の可能性(普通は、すぐに病院へ行き、整体などに来ている余裕はありません)。炎症性か?内臓性か?
- 運動中か?
- 症状が増悪することはあるか?
- 体を動かすと痛みが強くなるか?
関節や筋肉の問題は動作によって悪化します。逆に動作などに関係なく、常に痛みがあるようなら内臓の問題の可能性があります。 - 温める(お風呂に入った後)と悪化するか?
炎症が起きていて、血流が良くなると炎症物質が血管外へと放出されえるため悪化します。(痛みが強くなっても、必ずしも、温めることが害悪ではありません。) - 就寝中に悪化するか?
四十肩・五十肩などの炎症、内臓の関連痛の可能性。
- 体を動かすと痛みが強くなるか?
- 症状が楽になることはあるか?
- 特定の姿勢をとると楽になったりするか?
筋肉の問題であれば、その筋肉に負担のかからない姿勢をとることで、症状が楽になることがあります。炎症が強い場合はその限りではない。 - 温める(お風呂に入った後)と楽になるか?
慢性的な症状で、普段から体を動かしたりして筋肉を使い、血流を良くすると改善する可能性が高い。
- 特定の姿勢をとると楽になったりするか?
- 過去に同じような症状を患ったことがあるのか?
- もし同じ経験があれば、その時はどのように対処したか?
なにか対処したのなら、その方法も選択肢の一つとする。
- もし同じ経験があれば、その時はどのように対処したか?
生活習慣
- 仕事は?
デスクワークや営業など、仕事の形態によって体の使い方に影響が出ます。 - パソコンやテレビの位置は?
画面の位置が正面に無い場合、体や首を捻じることになるので、その癖が付くことがある。 - 起床時間や就寝時間
不規則な習慣は、自律神経やホルモンのバランスが崩れます。夜の仕事をしていて、日中、陽の光を浴びることが極端に少ないと、セロトニンの分泌量が減ります。これは痛みを強くさせてしまったり、体の活動力が低下して鬱などの要因にもなります。できれば早朝に一度は陽の光を浴びるようにしましょう。 - 夜間のスマホやパソコンの使用
ブルーライトは、陽の光と同じ波長をもっています。そのため夜間にブルーライトを浴びていると、体が休息の状態に入れず、自律神経やホルモンのバランスが崩れます。
その他、効き手、足組、肩に荷物をかけるか、場合によっては食事についても聞きます。
運動歴
過去、現在の運動の状況(頻度や時間)を聞きます。
競技によって体の使い方や、負担のかかり易い部分などがあるので参考になります。また、運動をほとんどしていない場合は、当然、筋肉が硬くなりやすかったりします。
番外編
最初に問診をするわけですが、実はその前にもやっておいた方が良いことがあります。
それは患者さんが治療院に入って来た時の姿勢だったり、歩き方を観ておくことです。ここでも患者さんの体に関する情報が得られます。
腰に手を当てていれば腰痛かもしれません。足を引きずっていれば足を痛めているのかもしれません。ぎっくり腰であれば、前かがみになっているのか、腰を真っ直ぐしたまま動かせないのか、で問題部位を予想出来たりします。
まとめ
問診は、症状の原因を探るためにとても重要になります。
問診だけで症状の原因を予想できることも少なくありません。そうすれば最低限の検査で済ますことが出来るので、時間の短縮にもなるし、重い症状の場合、患者さんの負担も減らすことが出来ます。
また、いち早く病院を受信させる必要性のある病態を見分けることにも役立つことがあります。
必ずしも全ての人に対して、上記にあげた内容を聞くはけではありません。症状によっては省くこともあります。
それと、施術中も少しでも関連性がありそうなことは、世間話に混ぜながら会話をします。意外と問診中は患者さんが言わなかったこと(本人も忘れていたこと)が、ここでポロっと出てくることがあるので、問診に限らず会話は重要です。