原因が分からず、病院以外でめまいを診てもらう場合

めまい, 神経障害

めまいが起きたら、まずどこへ行きますか?普通は病院ですよね。すぐに整体やカイロプラクティックに行く人は少ないと思います。まずは病院へ行くべきです。正直、治療家の先生で、めまいについてのちゃんとした知識を持っている人は多くありません(本人は「治せる」と言っていてもです)。腫瘍や血管障害によるめまいだった場合、命の危険があります。まずはそう言った可能性を排除するために、病院での検査を受けてください。

病院の治療だけでは治らないことも

病院でCTやMRIを撮って、異常が無ければ、命にかかわる危険性はほとんどないと考えられます。ただし、治るとは限りません。病院での治療の多くは、薬物療法になると思います。中には、リハビリを行うところもあると聞きますが、そういった病院は多くないのが実情でしょう。ただ、薬物だけだと、改善しないことも少なくないと思います。実際にそういった相談を受けることもありますし、なにより私の父も以前、めまいに悩まされていました。病院を何件も受診し、中にはメディアなどでも有名な大学病院へも行きましたが、結局、治りませんでした。私は、父がめまいで悩んでいたことを全然知らず、あるときに母から聞き、私が状態をみて、父に合いそうなリハビリを考えて指導したところ、めまいは起こらなくなりました。決して「私なら治せる」と言いたいのではなく、薬物だけでは完治しないことがあり、リハビリがとても重要だ、と言うことを伝えたいのです(もちろん、めまいの原因によります)。

整体やカイロプラクティックでめまいを診てもらう場合

病院で原因が分からなかったり、治療の効果がなかった場合に、整体やカイロプラクティックに救いを求める人もいると思います。しかし、冒頭で書いたように、めまいに関するちゃんとした知識を持っている治療家は少ないと言うことを知っておいてください。

治療家の中には、頚椎(首の骨)や首の筋肉の問題だから、そこを調整すれば良い、と仰っている人が少なくありません。これは間違ってはいませんが、めまいはその他の様々な原因でも起こります。首以外で起こる、めまいに関する知識の無い治療家の所へ行っても、首の関節や筋肉の問題ではなかったなら、症状は改善しません。最悪の場合、症状を悪化させます。

前庭系の生理学の理解が必要

めまいをみるうえで大切なのが、前庭系の生理学を理解しているかどうか。前庭系は、頭の動きや体の位置を感知します。視覚、筋肉・関節、姿勢制御、運動制御と繋がりが強く、これらの感覚の統合がうまくいっていないと、めまいを起こします。

上に書いた首とめまいの関連性は「首の筋肉には、筋紡錘という固有受容器が多く含まれているから」です。筋紡錘は、筋肉や腱の緊張や関節の位置の情報を脳に伝えています。この感覚が狂うと、脳が感じている頭の位置や傾きと、目から入ってくる視覚情報が一致しなくなるため混乱します(昔、遊園地に在ったビックリハウスをイメージしていただけると分かりやすいと思います)。残念なことに、このことすら説明できない治療家も少なくありません。

問診や検査の例

問診では
・どんな感じか?(フワフワ、グルグルなど)
発症した時の状況
・その時の、めまいの起こっていた時間は?1分以内・数分・数時間・数日・数週間から数カ月
・過去12ヶ月の間に、病気や怪我、ストレスなどはなかったか?
・誘因はあるか?
・飲んでいる薬があるか?
・聴覚障害(難聴・耳鳴り)はあるか?
などを聞きます。これらの情報は、原因を絞るうえでとても重要です。下で説明する良性発作性頭位めまい症(BPPV)の場合なら、これらの問診だけで問題部位の見当をつけることが出来ます。

次に検査を行い、問題の部分を探していきます。多くの場合、眼球運動に問題がみられます。この眼球の動きから、たくさんの情報が読み取れます。
・動いている物を追えるか?
・視点を素早く切り替えられるか?
・どの方向への眼球の動きに問題があるか?
・眼振の方向は?
・輻輳(寄り目)は?
・開散(左右の目が離れる)は?
これを読み取るためには前述した前庭系の理解が欠かせません。

良性発作性頭位めまい症(BPPV)

めまいの一つに、良性発作性頭位めまい症(BPPV)と言うのがあります。この場合はグルグル回るような回転性のめまいが起こります(慢性期になると浮動性になったりします)。

前述したとおりBPPVは、問診がとても重要になります。BPPVは三半規管の中に耳石が迷い込み、頭を動かすと、その耳石が三半規管を刺激してしまい平衡感覚が狂いめまいが起こります。三半規管は、前半規管・後半規管・外側(水平)半規管の3つの半規管のことです。それが左右にあります。前半規管は頭部を前側に倒した時に活性化し、後半規管は頭部を後方へ、外側(水平)半規管は頭部の左右の動きで活性化します。このことを理解していれば、問診から、どの半規管に耳石が入り込んでいるか予想することが出来ます。

例えば、「寝るときに、右を向いて体を倒すとめまいが起きる」「寝ている時に、左向きから右向きに寝がえりを打つ時にめまいが起きる」などと訴えていれば、右の後半規管に耳石がある可能性が高いことが想像できます。つまり、めまいが発症する頭位で耳石の場所が分かります。

あとは、実際に頭を動かして、めまいが起きることを確認するだけです。しかし、注意点があります。例えば右の後半規管に耳石がある場合、頭を右後ろに倒すわけですが、この時、左の椎骨動脈に負荷がかかります。椎骨動脈が狭窄して、脳への血液が行かなくなってもめまいが起こります。そのため、椎骨動脈への負担によるめまいか、BPPVかを区別する必要しなければいけません。区別の方法は、眼振の方向です。BPPVの場合、半規管と眼球の関連性に沿った眼振が起こります。これを判断するためにも前庭系を理解している必要があります。

耳石は後半規管に入りやすく、エプリー法で対処できる

耳石は後半規管に入り込むことが圧倒的に多いと言われています。後半規管に耳石が入っているなら、エプリー法(エプレイ法)が効果的です。このエプリー法の理論は単純で、頭や体を法則に従って動かしていくことで耳石を移動させています。エプリー法は後半規管に対して行う治療法です。だから、もし後半規管以外のところに耳石がある場合は、以下の動画の通りにやっても効果がありません。前半規管や外側(水平)半規管に耳石がある場合は違うやり方になります。

エプリー法をしている時、必ずめまいが発現し、中には吐く人もいます。しかし、それでも途中で止めずに、続けなければ意味がありません。できれば、専門の知識を持った人に指導を受けながら行うことをお勧めします。

メニエール病

メニエール病も、めまいを起こします。これは内耳にある蝸牛という器官の、内リンパが過剰につくられることが原因で、回転性のめまいに加え、吐き気や嘔吐、聴力障害や耳鳴りを伴います。リンパは体液でして、体液の循環には自律神経の働きが重要になります。メニエール病を発症する人の多くは、生活習慣の乱れやストレスを多く受けています。そのため、病院や手技療法の治療だけでなく、生活習慣自体の改善が必須になります。

原因に適した治療を

めまいは一部の原因を除いて、継続的なリハビリやトレーニングが重要になってきます。その方法も、原因に適した方法で行います。前庭系の知識がない治療家は、首の関節や筋肉が原因だ、と言いますが、それ以外でもめまいは起こります。原因が首に無かった場合は、効果が出ないどころか、首に余計な刺激を加え過ぎて悪化させてしまう可能性もあります。だからこそ、前庭系の知識と、問診や検査がとても重要になります。

ここで説明した原因のほかにも、視覚異常、眼球を動かす筋肉またはその神経、小脳、血圧・血流、などの異常もめまいを起こします。また、1つの問題だけでなく、複数の問題が絡み合っていることも少なくありません。とにかく、問診や検査が大事です。当院では検査に60分以上かかることもあります。