仰向けで寝ると腰が痛くなるのはなぜ?
仰向けで寝ていると腰が痛い、と言う人はたくさんいます。当院に来る腰痛のクライアントさんの2、3人に1人は、仰向けで寝ていると腰が痛くなると言います。
でも、この仰向けで寝ていると腰に痛みが出る人の腰の筋肉をいくら揉んだりストレッチしたりして柔らかくしても、仰向けで寝てしばらくすると、また痛みが出てしまい、良くなりません。
その理由は、仰向けで寝ることで腰に負担がかかる理由が、腰の筋肉ではないからです。原因はいくつかありますが、その中でも多いのは、体の前面の筋肉が硬くなっていることによる腰の痛みです。
なぜ、体の前の筋肉が硬くなっていることが、仰向けで寝ている時の腰の痛みに繋がるのか解説していきます。
体の前面の2つの筋肉は縮むと腰が反る
体の前面にある筋肉の大腿四頭筋と大腰筋(腸骨筋の一部)の2つの筋肉は腰痛の原因になります。なぜこの2つの筋肉が腰に痛みを出すのかというと、筋肉が縮むと腰が反ってしまうからです。
筋肉が縮むと、筋肉の端と端の骨に付着している部分を近付けるような力(黄色矢印)が働きます。
大腿四頭筋(図:オレンジの筋肉)は骨盤から膝の下に付いています。この筋肉が硬く縮んでしまうと、骨盤を前に引っ張るようにして倒します。大腰筋(図:赤の筋肉)は腰の骨から太ももの骨についています。この筋肉が硬く縮んでしまうと、腰の骨を前に引っ張って腰が反ります。
この様に、大腿四頭筋と大腰筋は硬く縮んでしまうと、腰が反ってしまうので腰の負担が大きくなり腰痛になります。
仰向けで寝ていると、より腰が反る
大腿四頭筋と大腰筋が硬くなると、腰を反らして腰痛を引き起こす理由は分かってもらえたと思います。ではなぜそれが寝ている時にさらに痛みを強くするのか解説します。ただ、寝ている時に腰の痛みが出る人のほとんどが、普段からも腰痛があり、寝ている時だけが痛いわけではありません。
立っている時は、重力により上半身の重さが腰や骨盤に圧縮をかけるので、腰の骨や骨盤の動きに制限がかかります。しかし、寝てしまうと、上半身の重さが腰や骨盤にかからなくなってしまうのと、足は重いので固定され、腰や骨盤が立っている時よりも簡単に筋肉に引っ張られてしまいます。
そのため、仰向けで寝ると腰が反ってしまい痛みを出します。
腰が反らないようにすれば、痛みは出ないので、膝を立てたり、横向きに寝て、軽く股関節を曲げていると楽になります。仰向けで寝ていると腰に痛みが出る人は、横向きに寝ることが多いのはこのためです。
寝ていても腰に痛みが出ないようにするためには
仰向けで寝ても腰に痛みが出ないようにするには、腰が反らないようにすればいい分けですよね。
だから、大腿四頭筋と大腰筋を緩めてあげれば解決・・・する人もいますが、解決しない人もいます。
筋肉が縮んでいただけなら、それを緩めれば済むんですが、長い間、腰が反ってしまっていると、腰の骨や骨盤の関節が固まってしまい、反ったままの状態で固定されてしまいます。そうなってしまったら、筋肉を緩めても腰の反りが戻らないので腰に負担がかかり痛みがでます。それでも筋肉が緩んでいる分だけ楽になるはずです。
この場合は、やはり骨格の調整をちゃんとする必要があります。
筋肉を緩めるだけなら、揉んでも、暖めても、ストレッチでも、筋膜リリースでも、ボキボキっとアジャストしても、やり方はなんだって構いません。
単純に、この2つの筋肉だけが原因ならそれでいいんですが、人の体は複雑で、いろいろな部分の影響を受けます。例えば、大腿四頭筋も大腰筋も、首の筋膜の影響を受けます。首の筋膜が固まったままだと、常に大腿四頭筋や大腰筋に負担をかけてしまって緩まないことがあります。
なので、もし、自分でやってみて、改善しない場合は治療家に相談してみてください。
おまけ
実は、もう一つ、仰向けで寝ている時に腰に痛みが出やすいタイプの人がいます。それは太っている人です。
- 太っている人が仰向けで寝ると腰に痛みが出る理由1
お腹が前に出ているので反り腰になりやすい傾向があります。太っている人は、長期間に渡る負担で、腰が反ったままの状態で腰の骨や関節が固定されてしまっていて、寝ている時も腰が戻らず痛みを出します。 - 太っている人が仰向けで寝ると腰に痛みが出る理由2
仰向けで寝ると、太っていない人と比べて背中側の筋肉にかかる圧力が高くなります。すると、血流が悪くなりそれが痛みの原因になります。 - 太っている人が仰向けで寝ると腰に痛みが出る理由3
寝がえりが、太っていない人と比べて少なくなるので、血流が悪くなりそれが痛みの原因になります。
当然ですが太っている人は、体重を減らすことが必要になります。
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