整体師が学ぶ関節の制限(動きの喪失)と矯正するべき場所

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関節の可動範囲

体の歪みを整える際は、基本的には左右対称になるようにバランスを整えて行きます。この時に、どちらに問題があるか判断しなければなりません。整体師として駆け出しの頃は、症状のある方に問題があると考えがちですが、そんなことはありません。症状の無い方に問題があることは決して少なく、むしろ多いと言えます。手技で介入する所は、関節や軟部組織の制限を起こしている所であって、症状がある所ではありません。

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関節の可動領域

関節には以下のような可動領域があります。

関節の可動範囲

  1. 能動的な運動領域
    自分の意思で筋肉を働かせることによって可動させることのできる運動領域。
  2. 受動的な運動領域
    押したり引っ張ったりすることで動かすことのできる範囲。意識的に動かすことは出来ない。
  3. 副(パラ)生理学的領域(図の緑色の範囲)
    関節をスラスト(矯正)した際などに「ポキッ」とクラック音のなる領域。関節の機能障害によって副(パラ)生理学的領域が失われていた場合に、矯正などによって回復した際に「ポキッ」とクラック音がなる。
  4. 解剖学(形態)的限界
    構造的な可動域の限界。手技療法で超えてはいけない一線。
  5. ハイパーモビリティ(病的な動き)
    異常な運動範囲。捻挫や脱臼。

上記の説明でも分かるように、副生理学的領域の次は解剖学的限界に当たります。スラストするときに力が強過ぎて、ここを超えてしまうと怪我をさせることになります。とても熟練を要するテクニックですので注意しましょう。それと、スラストの目的はズレた骨の位置を動かすためではありません。これを勘違いしている人は少なくありません。スラストの目的は関節可動域の拡大(回復)と腱紡錘への刺激です。これについては「整体やカイロプラクティックでボキッと音のなる矯正をする理由」に書きました。

矯正していい関節と、矯正してはいけない関節

矯正していい関節

2と3の間には、 (修正)2と4の間には、弾力のある「関節のあそび(joint play)」があります。触診した際に、関節のあそびが消失していると、この部分で突然、動きの制限が感じられるようになります。整体師が手技で介入するべきところは、この関節の遊びの消失(end feel)が起こっている関節に対してです。この部分にスラスト(矯正)をすると、3の副生理学的領域が回復し、同時に「ポキッ」っと言うクラック音が鳴ります(鳴らない場合もある)。

矯正した際に鳴る「ポキッ」っと言う音は、骨の音ではありません。この音は関節包内にある滑液が、矯正によって牽引されることで陰圧になり、液体中に溶けていたガスが解放される時に鳴る音、と言うのが最も有力な説です。矯正の成功・達成の有無にこの音が鳴る・鳴らないは関係ありません。極論を言えば、滑膜関節は瞬間的に強い力で牽引すれば音が鳴ります。

矯正してはいけない関節

前述したように、整体師が関節に対して介入する場所は「関節の遊びが消失した関節」に対してですので、それ以外の関節を矯正して音を鳴らす行為は危険な行為です。関節の遊びの消失がない、副(パラ)生理学的領域に対して、矯正のような刺激を繰り返すと関節が不安定になり、怪我の要因になります。そして、絶対にやってはいけないことは、ハイパーモビリティに対してさらに可動域をつけるような操作です。これは捻挫や脱臼を引き起こします。

まとめ

整体師が関節に介入していい場所は、「関節の遊びが消失した関節」に対してです。それ以外の関節に対して矯正やさらに可動性をつけるようなことはしてはいけません。

軟部組織が硬直すると、関節の遊びを消失させます。これに対しては、矯正やモビリゼーションなどで短時間で正常な関節可動域を回復させることが出来ますが、すでに動き過ぎている(靭帯や腱などの線維が伸びてしまっている)関節を、手技で瞬時に正常な関節可動域に戻す方法はありません。

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コメント

  1. ひっと より:

    初めまして。
    手技療法を勉強しており、関節のあそびについて検索していたところ
    こちらのページを拝見させて頂きました。

    関節のあそびについての図が非常に分かりやすい説明されてて、勉強になりました。ありがとうございます。

    一つだけ質問があるのですが
    生理学的バリア(2)と解剖学的バリア(4)の間の関節のあそびが消失した場合、
    図で表すとどのような図になりますでしょうか?

    関節機能障害がある場合
    解剖学的バリア(4)はそのままで、
    生理学的バリア(2)が減少した場合だと緑の斜線部が広がってしまい
    図で見るとあそびが大きくなるのではないかな?と疑問が出てきたのですが
    、、、
    または、生理学的バリアを解剖学バリアに近づけるようにしたものだと、図ではあそびが減少してるように見えますが、生理学的バリアが広がるのも違うような気がするのですが、、、

    頭では理解できるのですが、図解しようとした時に困惑してしまいました。

    あそびが消失または、減少した場合の図を教えて頂けないでしょうか?

    いきなりのコメントで失礼ですが
    ご返信頂けると幸いです。

    よろしくお願い致します。

    1. chuoh-chiro より:

      ひっと様
      すみません、コメントの確認が遅れてしまい返信が遅くなりました。

      ご質問の件について
      初めに1点、誤りがありました。「矯正していい関節」のところで〝2と3の間には、弾力のある・・・〝とありますが、正しくは〝2と4の間〝です。それと副(パラ)生理学的領域の説明に書いてある「関節をスラスト(矯正)した際などに「ポキッ」とクラック音のなる領域」という表現が、ことを分かり難くしてしまっているかもしれません。
      ここからが本題です。
      まず、構造の変化を伴う障害ではなく、機能的な問題によってこの図のそれぞれの領域が変化することはありません。
      関節の遊びの消失とは、本来、あるべき遊びが〝ない〝と言うことであって、その発生場所は、解剖学的制限までの範囲の〝どこか〝で起こります。必ずしも能動的、受動的、副(パラ)生理学的領域などの境界で発生するという訳ではありません。大事なのは、能動的→受動的→[関節の遊び]の可動域があることです。
      もし関節の遊びの消失を図で表すとするならば、機能障害が起きている部分に〝線〝を1本引きます。この線(機能障害)がある場合、それより外側の動きは起こらなくなりますが、この線(機能障害)が取り払われれば、いつでもそこに可動域が現れる、ということです。

      分かり難い文章の記事ですみません。

      1. ひっと より:

        ご返信ありがとうございます!
        詳しく教えて頂きありがとうございました。
        勉強になりました。
        ありがとうございます!

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